2013(平成25)年度の大阪府内における人権に関する相談の状況
大阪府と一般財団法人大阪府人権協会は、大阪府内における人権に関する相談の傾向を把握するため、「人権相談機関ネットワーク」 に加盟する各相談機関が、2013年度に対応した人権に関する相談について、集計を行いました。ご提供をお願いした各相談機関や集約方法などの概要は、以下のとおりです。(なお、「人権相談機関ネットワーク」は、大阪府内における全ての人権に関する相談機関が加盟しているものではありません。したがって、本資料は大阪府内の全ての人権に関する相談状況を示すものではありません。)
■対象機関
対象機関の種別 | 対象機関数 | 回収機関数 | 回収率 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年度→ | 2012 (H24) |
2013 (H25) |
2012 (H24) |
2013 (H25) |
2012 (H24) |
2013 (H25) |
|||
1.大阪府人権相談窓口 ※大阪府では、府民の人権相談を受け付ける「大阪府人権相談窓口」を設置しており、その運営を一般財団法人大阪府人権協会に委託しています。 |
2 | 2 | 2 | 2 | 100% | 100% | |||
2.市町村における人権に関する総合的な相談機関 ※大阪府内の市町村では、上記の機関が、人権についての総合的な相談窓口を設置しています。 |
110 (2) |
114 (2) |
104 (2) |
112 (2) |
94.5% | 98.2% | |||
3.「1、2」以外の人権に関する相談機関 ※「1.大阪府相談窓口」、「2.市町村における人権に関する総合的な相談機関」以外にも、人権に関する相談に対応している機関が多数あります。 |
169 (1) |
166 (0) |
97 (1) |
98 (0) |
57.3% | 59.0% | |||
合計 | 281 | 282 | 203 | 212 | 72.2% | 75.1% |
※()カッコ内の件数は、人権相談機関ネットワークに加盟していない機関で、集約に協力していただいた機関の件数(内数)です。
「人権相談機関ネットワーク」とは、一般財団法人大阪府人権協会が事務局となり、府内で人権に関する相談に対応している機関のネットワークを構築し、相互の連携・協働を図っているものです。(大阪府委託事業)
■集約方法
対象機関に対して、郵送または電子メールにより、2013年度に受けた相談件数等の提供を依頼しました。
具体的には、総件数(延べ件数、実件数それぞれ)と、その内訳(「人権課題別」、「相談形態別」、「相談者の性別」、「相談者の年齢別」、「対応状況別」、「その後の経過別」)などの提供を依頼しました。
対象機関への依頼内容の詳細は、別紙(PDF)のとおりです。
■集約期間
2014年7月16日付で対象機関に依頼し、2015年1月末までに回収できたものを反映しています。
■集計した総件数
対象機関から提出のあった総件数は以下のとおりです。
なお、「人権相談機関ネットワーク」は、大阪府内における全ての人権に関する相談機関が加盟しているものではありません。したがって、総件数は大阪府内の全ての人権に関する相談件数を示すものではありません。
年度→ 対象機関の種別 |
総実件数 | 総延べ件数 | ||
---|---|---|---|---|
2013 (H25) |
2012 (H24) |
2013 (H25) |
2012 (H24) |
|
1.大阪府人権相談窓口 | 526件 | 595件 | 1,217件 | 1,745件 |
2.市町村における人権に関する総合的な相談機関 | 12,663件 | 13,222件 | 15,013件 | 15,996件 |
3.「1、2」以外の人権に関する相談機関 |
72,893件 | 70,572件 | 91,202件 | 95,185件 |
合計 | 86,082件 | 84,389件 | 107,432件 | 112,926件 |
※「総実件数」、「総延べ件数」いずれかしか記載のなかった機関については、「総実件数」、「総延べ件数」を同じ値で処理しています。
1.「大阪府人権相談窓口」の相談事例に関する分析
大阪府では、「大阪府人権相談窓口」を設置し、その運営を一般財団法人大阪府人権協会に委託しています。人権侵害を受け、または受けるおそれのある府民が、自らの主体的な判断により課題を解決することができるように、事案に応じた適切な助言や情報提供などを行う人権相談事業を実施しています。
(1)人権課題別 (実件数/重複計上あり)
「障がい者」に関する相談148件(27.8%)、「職業・雇用」 ※2に関する相談121件(22.7%)、「子ども」に関する相談91件(17.1%)の順に多くなっています。
※2「職業・雇用」には、職場におけるハラスメントや就職困難者の就労支援などの相談が含まれます。
「子ども」に関する相談については、児童養護施設を出なければならない未成年者からの相談が多く寄せられました。住宅確保に必要な保証人がいない等の理由により賃貸住宅の契約ができないなど深刻な問題が発生しており、居住支援や就労支援などの対応が必要となっています。 2012年度と2013年度を比較すると、「障がい者」に関する相談が91件(23.1%)から148件(27.8%)に増加しました。大阪府人権相談窓口では、2013年度から「発達障がい」をテーマとした集中相談を開始しており、このことによる影響があったものと考えられます。
↑※「その他」「不明」を除く
(2)相談形態別 (延べ件数)
「電話」での相談1,073件(61.5%)、「面接」での相談331件(19.0%)の順に多くなっています。「メール」での相談の割合は15.4%であり、「2.市町村における人権に関する総合的な相談機関」の0.4%に比べ、相対的に高くなっています。
(3)相談者の性別 (実件数)
「女性」からの相談が314件(55.3%)で過半数となっています。「その他」の相談は、性的マイノリティ(LGBT※3など)の人々からの相談で、6件(1.1%)となっています。
※3 LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時割り当てられた性別にとらわれない性別のあり方を持つ人)の総称です。
(4)相談者の年齢別 (実件数)
「60歳以上」85件(27.5%)、「40歳代」71件(23.0%)、「50歳代」50件(16.2%)の順に多くなっています。全体に占める40歳以上の相談者の割合は66.7%であり、中高年齢層からの相談が多いことが分かります。
一方で、2012年度と2013年度を比較すると、「10歳代」の相談者が10件(4.1%)から32件(10.4%)に増加しています。2013年度は、大阪府人権相談窓口で、児童養護施設や里親で育った人々を対象として集中相談を実施しており、このことが相談の顕在化につながったものと思われます。
(5)対応状況別 (実件数)
寄せられた相談にどのように対応したかの「対応状況別」について見てみると、2013年度は、「対応継続中」257件(43.2%)、「助言・指導」127件(21.3%)の順に多くなってます。次に多い「その他」115件(19.3%)には、「話を聴いて欲しい」という方からの相談などへの傾聴対応が多く含まれています。
(6)その後の経過別 (実件数)
「相談の継続」255件(42.9%)、「個別の専門相談機関等につなぎ専門相談機関等で対応」133件(22.4%)の順に多くなっています。「その他」には、傾聴により対応を終えたケースなどが含まれます。
2.市町村における人権に関する総合的な相談機関の相談事例に関する分析
市町村では、人権相談担当部署(人権文化センター等を含む)と市町村人権協会・人権地域協議会が、人権に関する様々なテーマについての相談に対応しており、府民にとって、市町村・地域レベルの身近な相談窓口となっています。
(1)人権課題別 (実件数)
「障がい者」に関する相談2,998件(43.3%)、「高齢者」に関する相談891件(12.9%)、「女性(DV以外)」に関する相談805件(11.6%)、「職業・雇用」に関する相談798件(11.5%)の順に多くなっています。 2012年度と2013年度を比較すると、「障がい者」に関する相談が件数、割合とも増加する一方、「高齢者」に関する相談は2,067件(26.2%)から891件(12.9%)に減少しました。「高齢者」に関する相談の減少は、ある市町村で高齢者向けの専門相談窓口が新たに設置され、そちらで相談が受けられるようになった影響によるものと思われます。
(2)相談形態別 (延べ件数)
「電話」による相談10,817件(69.6%)、「面接」による相談4,056件(26.1%)の順に多くなっています。また、「家庭訪問」による相談も295件(1.9%)行われており、地域において、きめ細やかな対応がなされていることがわかります
(3)相談者の性別 (実件数)
「女性」からの相談の割合が7,827件(61.6%)となっており、過半数を占めています。「その他」は、性的マイノリティ(LGBTなど)の人々からの相談です。
(4)相談者の年齢別 (実件数)
「50歳代」2,582件(31.8%)、「40歳代」2,387件(29.4%)、「60歳以上」2,067件(25.4%)の順に多くなっています。この3つを合わせると、全体の86.6%を占めることになり、「1.大阪府人権相談窓口」以上に、中高年からの相談の多さが顕著になっています。 2012年度と2013年度を比較すると、「60歳以上」が3,141件(24.5%)から2,067件(15.5%)に減っていますが、これは、ある市町村において、高齢者向けの専門相談窓口が新たに設置され、そちらで相談が受けられるようになった影響によるものと思われます。
(5)対応状況別 (実件数)
寄せられた相談にどのように対応したかの「対応状況別」については、2013年度は、「助言・指導」が1,457件(43.0%)で最多となっています。また、次いで、「他機関への通報・取次」503件(14.8%)、「他機関紹介」464件(13.7%)が多くなっており、他機関を活用した対応も積極的に行われていることがわかります。「その他」には、傾聴対応などが含まれます。
(6)その後の経過別 (実件数)
「相談により事案解決(カウンセリングのみで解決)」865件(28.7%)、「相談の継続」589件(19.6%)、「個別の専門相談機関等につなぎ専門相談機関等で対応」501件(16.7%)の順に多くなっています。
3.「1、2」以外の人権に関する相談機関の相談事例に関する分析
大阪府内には、「1.大阪府人権相談窓口」や「2.市町村における人権に関する総合的な相談機関」以外にも、人権に関する相談に対応している機関が数多く存在しています。 ここでは、そのような機関が受けた相談内容の集計結果を記載しています。 対象としている機関を人権相談機関ネットワーク加盟機関としているため、大阪府内の相談機関を全て網羅するものでなく、また、様々な専門の相談機関では、それぞれ異なる方法で集計を行っているため、人権に関する相談の状況を正確に表しているとは言えませんが、大まかな傾向の把握には役立つものと思われます。2013年度の集計結果は以下のとおりです。
(1)人権課題別 (実件数)
※相談件数が多い5つの項目について、提出機関別の内訳を見てみると、それぞれの課題を専門的に扱う一部の相談機関の相談件数が大半を占めています。
・「障がい者」 ・・・2機関でおよそ18,000件
・「女性(DV以外)」・・・1機関でおよそ5,000件
・「女性(DV)」 ・・・1機関でおよそ3,000件
・「子ども」 ・・・1機関でおよそ6,500件
・「外国人」 ・・・1機関でおよそ2,000件
※「不明」、「その他」を除く。
(2)相談形態別 (実件数)
(3)相談者の性別 (実件数)
※「女性」からの相談の割合が非常に高くなっているのは、女性相談センターなど、府・市町村の女性相談機関から、「女性」の相談者数の報告が多数寄せられたためです。
(4)相談者の年齢別 (実件数)
※「対応状況別」及び「その後の経過別」の件数は収集していません。