HOME >> 人権相談についてTOP > 具体的な人権相談事例 > (7) その他の人権相談-3.性同一性障がいをもつ府民からの相談

具体的な人権相談事例

(7)その他の人権相談

自分にあった性で生活したい ~性同一性障がいをもつ府民からの相談 ~

<相談のあらすじと対応のポイント>

  • キーワード:性同一性障がい
  • 相談者:Bさん 45歳(相談時)
  • 家庭状況:Bさんの実父母と同居。*元妻と子ども(女の子)とは別居。
  • 相談の主訴
      「今まで男性として生きてきたが、どうすれば女性として生きていけるのか。
      また、家族への説明をどうすればよいのか思い悩んでいる。身体は現状でもいい。」と話をきりだされた。
家庭状況の図

●相談の経過

  • 市広報誌「セクシュアル・マイノリティー」の記事を見て、相談に来庁された。
  • 人権相談窓口に訪れた男性は、多少躊躇する様子を見せなが    ら、どんな相談でも対応してもらえるのかと話しだされた。お力になれるかどうかはわかりませんが、まず、お話し下さいませんかと伝え、支援活動が開始した。

●相談内容および生活歴

  • 現在45歳で、今まで男性として生きてきた。物心ついた時から、自分は女性だという意識を持っていたように思う。
  • 両親は女の子のような言動を幼稚園まではあまりうるさくは言わなかった。しかし、小学校に入学する直前から急に「男の子らしくしなさい」というような言葉が多くなり、時には強く叱られたこともあった。
  • 両親から叱られることや周りの子どもたちからのからかいをやり過ごすために、自分をごまかしながら男の子として学校生活を送っていた。小学校の高学年になった頃に、異性として好きになったのは男の子で、その子の前に行くと胸がときめき、自分は異常ではないかと思い悩んだ。その事からより強く自分の性について違和感も深まった。
  • 大学を卒業し数年が経った頃に、両親や親せきから勧められた縁談があり、そのうちの一人の女性と30歳で結婚。女の子をもうけたが当然、夫婦関係もうまくいかず、35歳の時に離婚した。
  • 離婚と同時に自分の男性としての生き方についての疑問と違和感に悩んだが、社会の人間関係等で自分が女性として生きていく決心がつかないまま今日まで経過した。
  • しかし、今は様々な強いしがらみよりも女性として生きたいという欲求が高まっている。できれば家族に打ち明けた上、女性として生きていきたいが今後、具体的にどうしたらよいのか途方に暮れている。
  • 要約すると以下のようになる。
    <本人の状況>
    • 男性、相談時45歳
    • 小学校に入学するまでは自分は女性だと思って生活していた。
    • 現在は離婚し、両親と同居している。
    • 失業中
    • 今後、女性として生きていくことを希望している。
    <家族の状況>
    • 両親と同居中
    • 結婚暦あり(子ども1人)現在は単身。
    • 兄弟姉妹はいない

●相談内容への対応

 本人の「女性として生きる」とはどの様なこと、姿を表すのか、本人の真の困りごとや希望を確認したうえで、人権相談員の自分では専門性もなく、今後の支援のことを考慮して他の社会資源につなぐ方が良いと判断した。


●経過

  • 12月○日、初面談。主訴等について、傾聴する。
  • 12月○日、相談。

    人権相談機関ネットワーク加盟の当事者団体である「G-FRONT関西」や「QWRC(くぉーく)」があることを紹介。
    それに併せて、5月○日に市民対象の人権講演会で、セクシュアル・マイノリティ当事者のAさんの講演
     (テーマは「ありのままのわたしを生きる」)があるので、参加し、お話をしてみることを助言する。

  • 3月○日、相談者が地域サークル等での活動など、近況報告のため来庁する。再度、人権講演会の参加を促す。
  • 5月○日、人権講演会に参加。一番前の席で熱心に講演を聞く姿が見受けられる。また講演後、Aさんと会話する姿も見られた。

●その後

①人権講演会に参加して以降、相談に見えていない。
②連絡先等はわかっているが、当相談業務の主旨として、当方から連絡は取っていない。


●使用した制度

①人権相談機関ネットワーク(G-FRONT関西QWRCを紹介)
②「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」(情報提供)