具体的な人権相談事例

助けを求める声に応えるために ~人権相談の現場から~

●豊かな地域社会を構築する人権相談員の活動

 現代の日本社会が抱えている誰もが認める課題は「少子・高齢化社会」だと思います。そして、その問題をさらに深刻化させる地域社会の課題は「世帯や個人の孤立化」だと考えられています。孤独死、児童虐待、高齢者虐待、いじめ問題など多くの課題は社会から世帯や個人、学校が孤立していることにあると言えます。今回、人権相談の事例分析からわかることは、相談者である個人の抱えている課題が複雑化していて、相談者がどこに相談に行ってよいかわからず、結果的に福祉事務所などの既存のセーフティネットには到達できないものが多くなっています。このような人たちの相談支援を人権相談員が拾い上げ、悩みや課題の整理を行い支援しているのです。
 人権相談員は、深刻な悩みを抱え、パワーレスになっている人たちにとって敷居が低く、相談しやすい存在になっており、大きな特徴だと言えます。また、地域の情報をもとにアウトリーチするフットワークの良さにも人権相談員の特徴があります。
 人権相談員の取り組みは人と人を繋ぎ、人と制度を繋ぎ、人と機関・施設を繋ぐ重要な役割を果たしていることがよく解ります。このような人権相談員の活動は個人や世帯等の社会的孤立を防ぎ、人権相談員の織りなす連携の束は、結果的に地域の人間関係と社会関係をも豊かにしていると言えます。


●人権相談の特徴

① 既存のセーフティネットでは対応し難い相談を受ける
② 身近で敷居の低い相談窓口に相談員がいる
③ フットワークが軽くアウトリーチができる
④ 人と人、人と制度を繋ぎ、結果的に地域社会関係を豊かにしている