(2)大阪で起っている差別の現実 ~実際の差別事象から~
外国人に対する差別落書き その1
【「コリアンの人々を蔑視・排除しようとする連続・悪質な差別落書き」】
◇事例の概要
- 2004(平成16)年から2009(平成21)年までの約5年間にわたって、主に大阪市内の公園のトイレに、『韓奴追放』や『韓奴皆ごろし』などの「外国人差別」を助長する内容の差別落書きが、5年で84件、断続的に発生しています。
- この差別落書きは、落書内容、筆跡、筆記具等から、同一人物による連続、悪質な差別落書事象と認められます。
- 2009(平成21)年度では、この落書き件数は増加しており、25件を数えています。
- 落書きの多くは、福島区、港区、此花区、西区内の公園のトイレ(男子トイレ、多目的トイレなど)の個室ドアの内側に落書がされており、トイレ以外では橋の欄干に書かれたものがあります。
- 落書きを書いた筆記具については、ボールペンによるものが1件ありますが、その他はすべて黒鉛筆で書かれています。
<公衆トイレに書かれた差別落書き> |
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大きさ 縦1cm 横5cm 西区 九条東公園の公衆トイレ内に横書きで、 「韓奴皆殺し」と黒鉛筆で書かれていました。 |
<橋の欄干に書かれた差別落書き> |
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大きさ 縦12cm 横2cm 此花区 西九条6丁目の「六軒家橋」の欄干に、 縦書きで「韓奴追放」と、黒鉛筆で書かれていました。 |
◇事例の差別性
- 差別落書きの内容は、『韓奴追放で日本浄化』、『韓奴皆殺し』のように、コリアン(韓国・朝鮮人)の人々に対する蔑視であるとともに、コリアンの人々を排除し、暴力をも呼びかける内容の落書きです。また、『中韓こそが侵略国家』というような一定の主義主張のように見える落書きもあります。
- これらの落書きは、コリアンの人々に対する偏見により、コリアンの人々を理由なくおとしめる内容であり、差別落書きであると考えています。
- 今回のような事象は、一時的のものと違い、長期間にわたって落書きをおこない、また広範囲に落書きをおこなっており、悪質な落書きと言えます。また、誰もが使うトイレの中で目撃されても特定されにくく、鉛筆での落書きはすぐに消せることから、「器物損壊」の罪に問われないことを考慮した犯行ならば、相当に悪質な差別落書きであると考えられます。
◇事例の対応
- これまで、落書きが発見されるたびに、施設管理者、大阪市・各区役所の人権担当の職員等により、現場保存、確認・記録、消去等の処理を行ってきました。
- 落書きをおこなった人物がわからない状況ですが、再発を防止するためにも、大阪市民への啓発として、「差別落書きは、重大な人権侵害であること」、また「差別を助長していること」、「差別落書きを発見した時には、落書きのあった施設等の管理者若しくは各区役所の人権担当部署に通報をお願いする」などの取り組みを、大阪市では取り組んでいます。
- 大阪市として取り組まれている今後の対応策は、次のとおりです。
- 区役所
① 区役所の広報紙による啓発
② 区役所安全パトロールによる巡回強化
③ 連合町会への情報提供・注意喚起のお願い
- ゆとりとみどり振興局(公園事務所)
① 巡回強化
② 警察への相談
- 人権室
① 連絡体制の整備、事象発生時の関係区等への連絡
② 落書犯発見時における警察との連携、啓発
③ 府警への相談
④ 市民啓発
- 「利用者のみなさまへ」ポスターの作成と掲示
- 区役所