(2)大阪で起っている差別の現実 ~実際の差別事象から~
同和問題に関する差別落書き
【事例 その2「部落差別落書き」】
◇事例の概要
- 2006(平成18)年9月から2008(平成20)年1月までの約1年5ヶ月にわたって、大阪市内で、同一の行為者によるものと思われる落書きが計216件発見されました。
- 内容は、「同和(は)税金ドロボー」というもので、この他、「同和税金 盗人」「大阪市と同和 官製談合は ヤメロ」という内容もありました。
- 被害施設は、市関係施設(街路柱、歩道橋、公園等、バス停、保育所施設等)のほか、関西電力(電柱)、NTT(電柱)、高速道路(橋脚)にも及びました。
- 2008(平成20)年1月に、落書きをした行為者(以下、行為者)を逮捕しました。
- 差別落書きの事例は次のとおりです。
<関西電力の電柱に書かれた差別落書き> | |
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縦64cm 横10cm 縦書きで、「同和税金ドロボー」 と黒フェルトペンで書かれていました |
縦54cm横9cm 縦書きで、「同和税金ドロボー」 と黒フェルトペンで書かれていました。 |
<北開公園の外灯の柱に書かれた差別落書き> |
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縦50cm横7cm 縦書きで、「同和税金ドロボー」 と黒フェルトペンで書かれていました。 |
◇事例の対応
- 差別落書きをした行為者に対して、落書きによる影響について、説明をおこないました。特に「同和税金ドロボー」などの落書きにより、同和地区やその住民がどのように感じ、傷ついたか、落書きの発見のたびに施設管理者や市がどのような対応をしてきたかについて、説明をおこないました。
- また、行為者は15歳の時に仕事を求めて九州から大阪に出てきましたが、学校で同和問題について教わったことはありませんでした。大阪に来て、職場で部落差別の発言が問題になったことを経験したり、同和地区の人とけんかをしたこともあったりするなど、同和地区の人に対してマイナスイメージを持つようになりました。
- このようなことから、行為者に対して同和問題を取り上げたビデオとリーフレットによって部落差別の実態を説明し、ビデオや資料を見た感想を行為者から聞きました。この様な取り組みにより、行為者に同和問題についての正しい理解や考えるきっかけを作ることができました。また、たまたま同和地区の人とけんかをして悪いイメージを持ったとしても、すべての同和地区の人が悪いという考え方は間違っているということをわかってもらうよう話しました。
- これまで差別落書きが発見されるたびに、施設管理者や行政の啓発担当等の関係者による現場保存、確認、消去等の処理がおこなわれました。また、現場確認時に所管の警察の立ちあってもらうなど警察とも連携し、行為者を逮捕することができました。
- この間、落書きの再発防止のために、次のような対策が行われました。
① 落書き発生時の警察、施設管理者、行政等の連絡体制の確認
② 広報による啓発
③ 安全パトロールチームによる巡回強化
④ 「落書は犯罪です!」のポスターの掲示
⑤ 同内容のチラシのを町会での回覧
⑥ 連合町会への情報提供、注意喚起のお願い
⑦ イベントでの差別落書きレプリカの作成と啓発
⑧ 「落書き一掃運動」での呼びかけ、啓発物品の配布
⑨ 行為者逮捕時の警察との連携の確認