主な人権侵害事象(差別事象を含む)状況

(2)大阪で起っている差別の現実 ~実際の差別事象から~

同和問題に関する差別落書き

ポイント

  • 差別落書きは、差別意識や偏見を助長・拡大させる極めて悪質な行為です。差別落書きは消したら済むものではなく、人の心を深く傷つけるもので、決して許されるものではありません。
  • 公共物への落書きは、刑法に定める名誉毀損罪、侮辱罪や器物損壊罪といった犯罪になる場合もあります。
  • 差別落書きをしない、させないために、府民のみなさん一人ひとりが人権意識をしっかりと持ち、発見したらすぐに、差別落書きがあった施設等の管理者や管轄の市町村の人権担当部局に通報してください。

【事例 その1「部落差別落書き」】

◇差別落書き事象例の概要

  • 2007(平成19)年6月、和歌山県職員が、廃棄物不法投棄監視パトロール中、泉南市と紀の川市の境界付近で部落差別落書きを1カ所、発見しました。同県職員が梵天山展望台周辺を調査した結果、新たに10カ所の部落差別落書きを発見しました。
  • 翌日、和歌山県、同県紀の川市、同県岩出市、大阪府泉南市の合同で周辺を調査し、新たに1カ所発見し、翌々日には、和歌山県、大阪府、同府泉南市が泉南市側から展望台に至るハイキングコースを歩行調査し、更に7カ所を発見し、計19カ所で差別落書きが確認されました。
  • 差別落書きは、不特定多数の方が利用するハイキングコースを選び、容易に消えないようラッカーで吹き付けられていることから、差別を助長・拡散する意図をもった極めて悪質な差別事象です。
  • 警察に器物損壊の被害を届け出るとともに、大阪法務局に差別事象の報告を行いました。
  • 発生した差別落書きは次のとおりです。
<ハイキングコース案内版> <道路の側壁>
落書き1 ハイキングコース案内版 落書き2 道路の側壁
縦62cm横32cm
縦書きで、「○○(差別用語)」を
白色ラッカーで書かれていました
縦50cm横155cm
横書きで、「○○(差別用語)は恐い!」を
青色ラッカーで書かれていました
<展望台テラス板の上> <展望台の上にある柵>
落書き3 展望台テラス板の上 落書き4 展望台の上にある柵
縦196cm横47cm
縦書きで「○○(部落差別用語)フザケルナ」
を黒色ラッカーで書かれていました
縦70cm横35cm
縦書きで「○○(部落差別用語)」を
黒色ラッカーで書かれていました
<立ち木> <立ち木>
落書き5 立ち木 落書き6 立ち木
縦180cm横20cm
縦書きで「○○(部落差別用語)税金ドロボー」
を青色ラッカーで書かれていました
縦105cm横20cm
縦書きで「△△△△△(個人名)」
を赤色ラッカーで書かれていました

  • なお、大阪府、和歌山県境のハイキングコースにおいて、過去にも大規模な連続部落差別落書きが発生しています。
    • 2002(平成14)年6月
       登山ルートで、立ち木、案内標識や説明用看板、距離石碑や木柱、木製デッキ床等の15カ所に、部落差別落書き
    • 同年 8月 ハイキングコースで、立ち木、看板、岩等の22箇所に、部落差別落書き
    • 同年10月 ハイキングコースで、立ち木、看板、岩等の30箇所に、部落差別落書き
    • 2003(平成15)年8月
      ハイキングコースで、防火啓発看板等の4箇所に、部落差別落書き
    • 同年10月 ハイキングコースで、立ち木や看板等の22箇所に、部落差別落書き
    • 2005(平成17)年7月
      ハイキングコースで、立ち木や防火啓発看板等の27箇所に、部落差別落書き

◇差別落書き事象例の対応

  • 広域的に発生しているため、警察に情報提供や協力依頼を行い、パトロールの実施など地元警察署と類似の差別落書きへの対応について連携の強化を図っています。
  • 差別落書きの拡散防止を図る観点から、ハイキングコースの巡回、点検を行うとともに、管理運営施設の一層の適切な管理、点検、巡視に努めています。
  • 市民への人権意識の向上を図るため、差別落書きがされていた場所に、差別落書きの防止と見つけた時に通報をお願いする看板を設置するとともに、市民の集い、パネル展への資料の提供、府民への人権啓発冊子の配布を通じた啓発を行っています。