2016年度人権NPO協働助成事業
実践報告★交流会 報告
2016年度の人権NPO協働助成事業「実践報告★交流会」を、2016年3月17日(金)、HRCビルで開催しました。
協働し助成した4つの事業について、参加者の前で、悩みや笑い喜んだプロセスを報告し、みなさんとディスカッションするなど、今後の活動のヒントを共有しあいました。
子どもシェルターにおける自立支援事業
「NPO法人子どもセンターぬっく」
様々な困難を抱えた居場所のない子どもを対象に子どもシェルターを運営している。子どもシェルターでの生活は概ね2か月で、抱えている問題がそこで解決するわけではない。入居中から退所後の自立支援を行うことが不可欠。子どもシェルターを退去した後も細く長くつながろうということで支援していく事業に取り組んだ。
子どもを支援するボランティアなどの人材確保や退去後の支援について取り組んできた苦労や発見、喜びなどを報告した。支援を続ける中で、つながることの大切さを実感した。
今後の課題は、退所者への関わり方や他の団体・支援者へのつなぎ方をどうするのか。特に就労支援が大変なので、つながることが大事だと思った。
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シングルマザー&プレシングルマザーに対するトータルサポート
構築のためのネットワークと仕組みづくりプロジェクト
「シングルマザーのつながるネット まえむきIPPO」
シングルマザーの課題は、経済的不安、就労、子育て、孤立、メンタル、元夫との子どもの面会の問題、実の親との関係、ステップファミリーについての迷いなど様々。それぞれが複合的に絡まっているため、課題解決にはトータルサポートが必要。そこで各専門分野の方とつながり、様々な角度からシングルマザー支援実現に向けて動き出したいと考えた。
ミーティングで情報共有を行い、交流会でネットワークを深めた。学習会では、シングルマザーの就労支援をメインに仕組みづくりや話題になっていることについて議論した。また2月には企画の集大成イベントを開催した。
取組みを進める中で、継続することの大切さを実感した。
今後の課題は、継続するための仕組みづくりを考えなければならないということ。学習会や相談会は必ず続けていきたいと思っている。
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思春期のセクシュアル・リクロダクティブ・ヘルス&ライツの意識と検証
「NPO法人えんぱわめんと堺/ES」
思春期の中・高校生の課題として、ジェンダーのすり込みによるデートDV・セクシャルマイノリティへの偏見、誤った情報を信じ込み、気付いた時には自分にはどうしようもない状況がある。自分の心・身体は自分のもの、自分がどんなスタイルやどんな性で生きていきたいのか、自分で決めてもいいという権利を伝え、一緒に考えることが必要だと考えた。
高校生を対象にデートDVを軸に性についてのアンケート調査やワークショップなどに取組んだ。ワークショップでは、ロールプレイを交えて正しい情報を伝えた。その中では、生徒自身が思い込みや間違いに気づくことがあった。
アンケート分析では、ワークショップ前後で気持ちの変化が伺えた。意見は大切にし、反映させていく。意見集計や分析から行政や企業に理解をしてもらう活動を進めていこうと思っている。
性の問題は、真剣に考える場が必要である。今回はそのきっかけであり、先生と生徒が対等に互いに尊重できる良い関係を築いてもらえればと思っている。
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大阪市人権絵本「てんとてん」の多言語マルチメディアDAISY版とYouTube版の作成
「NPO法人おおさか多文化子どもセンター」
外国にルーツのある子どもたちが自分らしく、安心していきいきと暮らせる環境づくりのための活動を展開。家族間で母語を大切にしてほしいという思いから、絵本を多言語DAISY絵本化する事業に取組んだ。
会議では、翻訳や音訳(録音)をどのように進めていくか議論した。絵本にはオノマトペ(擬音語・擬態語)がたくさん使われている。世界観を壊さず翻訳するにはどのように表現すればいいのか、苦労はあったものの楽しく取組みを進めることができた。
DAISY絵本とYouTube版を作成することで、多文化共生社会の実現に寄与できればと思っている。世界にはいろんな言語があり、歴史・文化・人々の暮らしがある。尊重しなければならないことに、この絵本を通じて気付いてほしいと願っている。
今後の課題は、もっと多くの人に知ってもらえるようにどのように広報していくか。また、今後も継続していくための予算の確保をどうするか、検討していきたい。
ディスカッション・・・
後半のディスカッションでは、4つの実践報告を受け、参加者に質問カードを配り、聞いてみたいことを記入していただきました。
質問では、周知方法は?どのようなメンバーで活動や運営をしているのか?絵本の著作権はどうしたのか?関係機関への情報提供は?などがでました。
3人のゲストスピーカーから・・・
佐々木妙月さん(情報の輪サービス株式会社)、奥田均さん(近畿大学人権問題研究所)、田村太郎さん(一般財団法人ダイバーシティ研究所)から、各団体の取組み報告を聞いての感想、評価、分析、助言、課題など具体的なコメントをいただきました。
・事業内容の濃さはとても助成金でできる内容ではない。それくらい貴重な社会課題に取り組まれていると報告を聞くたびに思います。
・それぞれの団体が差別や人権侵害などにどう切り込んでいくのか。報告を聞く中で、大変広がりがあり普遍性のある取り組みだと感じました。
・それぞれの人権課題に対し、どこにターゲットを絞り、誰に協力を得ていくのかを次のステップとして欲しいと思います。
最後に、2017年度人権NPO協働助成金の4事業を発表。参加していた4団体から、事業紹介とこれからの抱負について話していただきました。各団体の詳しい活動内容は下記ページにてご覧ください。
2017年度人権NPO協働助成金助成団体
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・2016年度人権NPO協働助成金の募集案内
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/01/_1_93.html)
・2016年度人権NPO協働助成金の助成事業が決定しました。
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/03/_npo_1_8.html)
・協働事業で成果を上げるために...事業説明会&ワークショップ
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/05/npo_1_18.html)
①「絵本『てんとてん』翻訳者会議で、擬音語について活発に議論!」
「第1回 ミーティング」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/05/npo_1_19.html)
②「ただ今 実施校とアンケートを準備中」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/06/npo_1_20.html)
③「第2回ミーティング」「絵本『てんとてん』外国語の録音開始!」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/07/npo_1_21.html)
④「スタッフ・ボランティア養成講座を開催しました」
「絵本『てんとてん』2回目の録音を行いました!」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/07/2npo_1_1.html)
⑤「多文化にふれる えほんのひろば で てんとてん」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/09/npo_1_22.html)
⑥「絵本『てんとてん』3回目の録音を行いました!」「第3回ミーティング」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/10/33npo.html)
⑦「第1回支援者交流会」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/10/33npo_1.html)
⑧「絵本『てんとてん』8言語の録音終了!」
「実施校決定とアンケート印刷完了」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/11/1npo.html)
⑨「第1回学習会」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/11/1npo.html)
⑩「日本子ども虐待防止学会第22回学術集会おおさか大会前夜祭シンポジウム」
「高校2校ワークショップ実施報告」
(http://www.jinken-osaka.jp/2016/12/zennkoku_3npo.html)
⑪「絵本『てんとてん』にロシア語翻訳を追加」「第2回学習会」
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/01/npo_2.html)
⑫「飛び立つ準備をする部屋」「引越しぬっくメイト」「ぬっくを支援する会」(仮称)
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/01/npo_3.html)
⑬「高校へのワークショップ実施終了報告」
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/02/post_332.html)
⑭「スタッフ・ボランティア養成講座を開催しました。」「ぬっくメイト活動」
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/02/npo_4.html)
⑮「ぬっくメイト活動~焼肉を食べに行きました~」「退去した子どもたちへの年賀状」
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/03/npo_5.html)
⑯「シングルマザー&プレシングルマザーあつまれ!無料相談会&リラクゼーションFESTA」
(http://www.jinken-osaka.jp/2017/03/npo_festa.html)
この人権NPO協働助成事業は、人権に取り組むNPO等のホップ・ステップ・・・を応援するために、事業収益の一部を活用して自主事業として取り組んでおります。
より充実した内容へと発展させるために、皆様のあたたかいご支援・ご協力よろしくお願いいたします。