「これまでの部落完結型運動から校区まちづくり運動へ」と発展した活動へと舵を切り、「新たな住宅政策、多様な住宅供給のまちづくり」・「住民参加のまちづくり」・「教育のまちづくり」・「福祉のまちづくり」等あらゆる分野での部落と周辺住民との協働を重要視し、新たなまちづくり運動を推進してきました。 この「校区のまちづくり」を通じて、「誰もが安心して住み続けることのできる地域」を実現することで、差別という「壁」をのりこえ、部落と部落外との豊かな関係を実現し、部落の側の閉鎖的傾向と、周辺地域の忌避意識を克服することができると考えています。 「差別からの解放」を射程に入れた第三期の部落解放運動からみれば、取り組みは始まったばかりですが、「広く」「大胆に」「楽しく」、支部と行政とのパートナーシップで豊かに実らせていきたいと思っています。
<組織概略> ●参加組織 部落解放同盟北芝支部、萱野自治会、北芝地域協議会、北芝住宅利用者組合、 NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝、生きがいワーカーズ「まかさん会」、 福祉サービス「よってんか」、北芝太鼓「鼓吹」 ●アドバイザー CASEまちづくり研究所 <最近の取り組み状況> 2007年度より新たに4つのプロジェクトを立ち上げ、まちづくり活動を推進しています。 ○安心居住プロジェクト 〜誰もが安心して住み続けることのできる「福祉のまちづくり」を推進〜 まちかどデイハウス、配食サービス、送迎サービス、生きがいワーカーズなど、すでに立ち上がっている福祉サービスに加えて、高齢者への「買い物代行」と「みまもり活動」を新たに事業化し、それらの福祉サービスがネットワークされることで、高齢者にとっての「ワンストップサービス」の実現をめざす。 《福祉のまちづくり推進イメージ図》 ○教育支援プロジェクト @昨年度、行政と協働で行った、地域青年の再学習ニーズ等調査によって明らかになっ た青年層の就労状況の悪さに対する取り組みを強化するため、再学習システム、就労支 援システムの研究、実践をおこなう。 A保護者組織の再構築として、コミュニティレストランを活用して、保護者のネットワ ークを構築する。 《地域子育てネットワークイメージ図》 ○まちづくりプロジェクト 地域文化の創造として、伝統まつり、新たなテーマコミュニティとしてのイベントを定期的に開催することと併せて、コミュニティの再構築として昔ながらの「お互いさま、助け合い」を復活させるツールとして、地域通貨の試行実験をおこなう。 ○コミュニティビジネス推進プロジェクト 〜北芝発のコミュニティビジネスモデルとまちづくり株式会社の設立〜 @北芝発のビジネスモデルとして、送迎サービス、コミュニティレストラン、野菜市など、すでに始めている取り組みの事業化をめざす。 A北芝の地域特性、人材、社会資源を生かした事業展開と、地域の財産を有効に活用す るために、まちづくり株式会社の設立をめざす。 <『お宝発掘隊』までの足跡> ☆「部落解放のまちづくり」をふり返る・・・ 1988・89年 ・・・ 箕面市教育実態調査 ○部落差別をなくす闘いの中で、取り組まれてきた同和対策事業は、部落住民の「生活 基盤安定」に大きな成果を上げました。しかし、一方で1988,89年の「箕面市教育実 態調査」をきっかけに、子どもたちの「自尊感情の低さ」や「いつか、どこかで、だ れかが、なんとかしてくれる」という、甘えや依存的傾向が生まれているという実態 が明らかになりました。 ○この結果を受けて、真に自立した生活を取り戻すため、法が失効する前に、自主的 に同和対策事業の返還を行っていく方針を出し、改革に取り組み始めます。同時に、 生活困難層に対する「生活基盤安定」のための取り組みを、昔ながらの「お互い様・ 助け合い」の精神で、自分たちの手で取り組み始めました。 ☆「部落完結型」から「周辺協働型」の運動へ 1995年 ・・・ 阪神淡路大震災 ○北芝からもボランティアグループが支援活動に参加する中で、北芝が解放運動の中 で積み上げてきたことは他の地域でも必要とされていることを実感します。 このことは、北芝が発信し、他の地域と協働で取り組むことで、これまで部落差別 によって心を閉ざし、受け身にならざるを得なかった部落の側の閉鎖的傾向を払拭す ることができるのではないかという新たな気づきとなります。 ○そのことが「誰もが安心して住み続けることのできる地域づくり」を通じて、北芝 の文化や取り組みを他の地域に発信し、地域課題の解決を協働で取り組むことによって、差別意識の撤廃をめざす「部落解放のまちづくり運動」へと発展していきます。
■地域のまちづくりを進めていく上で活用した施策や工夫 @『お宝発掘隊』結成後、「大阪府まちづくり支援制度」を活用し、住民の「つぶやき」 拾いから活動がスタートしました。 A国土交通省のモデル事業「多様な主体の参加と連携による活力ある地域づくりモデル 事業」を活用(2003年)し、萱野地域まちづくりプロジェクト「ゆめ工房」を実施。 (『暮らしづくりネットワーク北芝』が事務局) B地域内の遊休地を活用して、自力で仮設事務所・フリースペースを建設し、そこを拠 点に地域活動を活性化してゆこうというプロジェクト「ゆめサロン」(現在の『芝樂』)を作りました。当初は、舞台やフリースペースなどを作り、アートイベントやモデルルーム、チャレンジショップなどの場を提供するところから、起業支援まで結びつけてゆこうと考えで作りました。 C(財)大阪府人権協会「住民参加型まちづくり促進事業」を活用し、『お宝発掘隊』 の再開をおこない、課題整理のワークショップをおこないました。 ■自分たちで活動を支える取り組み 自分たちで活動資金を創出し、自立的で持続可能なまちづくり活動をめざして、『暮らしづくりネットワーク北芝』との協働で、地域の達人発掘やコミュニティビジネスプロジェクトなどの取り組みをおこないました。 これらの取り組みから、多様な主体の参加と連携による活力ある地域づくりをめざして、「ゆめ工房」プロジェクト(※)を展開し、現在の『芝樂』へと成長しました。このプロジェクトによって『昔なつかし映画会』・『電飾アート』・地域通貨『100芝樂』・『萱野テクシー』などの様々な活動が生まれました。 ※「ゆめ工房」とは、萱野で働き、暮らしている人々のつぶやきや想いを拾い集め、 自分たちのやりたいことやできることを少しずつ持ち寄り、地域資源・活動・人材を 発掘し、多様な主体がつながって一緒に汗をかいてお互い様の気持ちをつむぎながら、 「みんなのゆめを実現する舞台(工房)」です。