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人権NPO 協働助成事業

2014年度 実践報告交流会 3.21




2015年3月21日(土)晴れ

HRCビルの研修室で、2014年度人権NPO協働助成金を活用した4つの事業を発表する実践報告交流会を開催し、23人の方が参加しました。

実践報告交流会では、4つのプロセスの実践報告(episode)、参加者からの質問と返答する交流会、ゲストスピーカーからご意見、2015年度助成事業の発表をおこなうなど、盛りだくさんの内容でした。

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会 場 の 様 子



episode 01
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はじめの実践報告は、マイノリティグループへのセクシュアルマイノリティ出前講座に取り組んだQWRCの井元さんと六色さん。


この事業企画のきっかけは、QWRCのこれまでの活動を通じて、どんなマイノリティのグループにもセクシュアルマイノリティの存在していることを感じていたこと。

そして、ダブル・トリプルのマイノリティ性を抱えていること。色んな、マイノリティグループが多様性を持った場所になることを願って、出前先と共にプログラムをつくってきたプロセスを報告しました。

出前先は、この事業で出会った在日コリアン青年連合(KEY)、大阪府立大学の松田博幸先生から紹介された大阪スタタリングプロジェクト(吃音者/どもる人のセルフヘルプグループ)。

出前講座ではQWRCのメンバーや人権協会のスタッフも参加し、在日コリアンや吃音/どもりとセクシュアルマイノリティの特徴と問題をお互いに出し合って、共通していることや違いについてお互いに共有しあうプログラムをおこないました。

参加者の感想では・・・・

「今回のように多面的に考えられるグループワークなど、もっとあればいいな~」

「自分たちの中にセクシュアルマイノリティがいるという前提で、活動するということの大切さを忘れないようにします。」

「初めてちゃんとセクシュアルマイノリティについて知ることができました。吃音と似ている所がたくさんあると思いました。当事者からの話はとても分かりやすかったです。」

「タイプの違うマイノリティ同士の方が集まった時、お互いの話題を突き合わして、こんなに色々な発見が出てくるとは思わず、貴重な経験をさせていただきました。」

この出前講座でプロセスを、マニュアル化したブックレットを発行・配布し広げていくことを報告しました。


episode 02

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2番目は、"在日コリアン青年のための疎外・差別相談事業"と題して、在日コリアン青年連合(KEY)の李さんと劉さん。

2014年8月に、在日コリアンなんでも相談室「晴れほこ」がスタート。
相談事業の名前を決める会議の中では、
「コリアンユースカウンセリング」「在日コリアン青年ホッとライン」という名称案が出ていましたが、ありきたりな名前ではなく、"在日コリアン青年の「もやもや」という悩みが、相談で「晴れ」て「ほっこり」する場所"として「晴れほこ」の名前が選ばれたプロセスを報告しました。

相談をはじめる前に、大阪府人権総合講座(大阪府人権協会)を受けたり、相談のガイドラインやプライバシー保護規約などの相談体制をつくったこと。
「はれほこ」相談事業のスタートでは、キックオフイベントとしてシンポジウムを開催し、新聞・ビックイシューなど多くメディアに紹介されたことを報告しました。

相談では、「ヘイトスピーチが不安」「歴史認識に関して教えて欲しい」「法律関連で聞きたいことがある」「在日は一体どういう存在なのか?」という多様な悩みの相談がきます。
また、歴史やアイデンティティだけでなく、生活に関わる現実的な悩みやなかなか悩みの本題に入れず、「まずは話したい」という印象の相談もあったと話します。

当事者青年たちが始めた「晴れほこ」の成果は、多くのメディアで取り上げられたことで、日本社会へのメッセージとなったこと、「もやもや」を抱えた青年たちの「言える場」が"在る"ということ。

一方で、事業運営や相談員の経験、コミュニティの在り方を問うきっかけなど、自分たちに足りないことや求められていることを発見したことの成果があったと報告しました。

episode 03

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3番目は、様々な背景によって、社会とつながりにくい、なじみにくいと感じたことのある人たちのグループ「ほしぞら」の"ばんさん"と"つっちー"と四宮さん。

フリーペーパー、展示会、イベント出店、農園、視察に取り組んだ苦労ばなしと良かったこと、そして自分たちが変わったことを報告しました。

フリーペーパーづくりをきっかけに、ほしぞらに10人ぐらいが集るようになり、これまでに5号作成しました。
会議は脱線してなかなか進まないということもありましたが、フリーペーパーをとおして、活動を知ってくれる人、それぞれの思いを伝えられたり、いろんな人が記事に『へぇ~』という感想を聞いたり、配布するときに人との交流ができて良かったこと。

展示会では、レイアウト等を考える難しさや締切日に追われるなど大変なことも。でも作るモチベーションや他の利用者も創作意欲をかきたてられたり、お客さんが作品を手に取ってくれて、感想を聞けたり、自己主張が出来るものが出来た(自信になる)と報告。

農園では、農機具の使い方や夏の蚊、害虫対策が大変でしたが、普段食べている野菜の成長の仕方がわかったり、収穫の喜び(頑張った分おいしい)、皆で同じ作業をする機会が増えたことを報告しました。

視察では、対人に緊張があるメンバーが、「他の団体をみて、ほしぞらの良さがわかった」という発見があり、自治体等へのアピールの仕方や視野が広がるきっかけになったなど、居場所の活用方法のヒントを得た良いことを報告がありました。

みんなで分かち合う創作活動のとりくみを通して・・・・

「複数人と行動をともにして、自分の行動や発言に伴う責任を考えるようになった」

「仕事と家以外の居場所が増えて外に出る事が増えた」

「仲間とフリーペーパー等の一つの目標に取り組む事で、お互いの不得手な所は理解し、得意な所を尊重しあえるようになったこと」

「活動している人を見て「何かしよう」という気持ちになったこと」

「フリーペーパーの記事を通じて自分では意識していなかった事を『良かった』と言ってもらえたりして、自分について新しい発見があったこと」


・・・・自分たちが、変わっていったことを報告します。


最後に「本年度を通して、人との交流の大変さや楽しさ、嬉しさを感じることが出来ました。この経験を一人でも多くの人に味わってほしいと思いました。今いるメンバーは今までの経験をもっと積んで、そして新しい経験をするために、来年度も続けていきたいです」とまとめました。



episode 04

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最後の実践報告は、アルビノ・ドーナツの会の薮本さん。
点在するアルビノ学生が集まって語り合う「アルビノ甲子園」を報告しました。

事業のきっかけは、2013年12月、アルビノ・ドーナツの会の「恒例クリスマス会」のとき、
「なかなか同年代のアルビノ当事者に会えないんですよね...」と言った、あるアルビノ学生のつぶやき。

その学生のつぶやきは思い返せば、

「髪の毛の色でバイトを断られたとき」
「進学先や就職先で「アルビノ」のことをどう説明しようか悩んだとき」
「恋人の家族にアルビノが理由で交際を反対されたとき」

薮本さんも学生時代が、そうだったな~という共感から、

団体として初めて助成金にチャレンジを決意します。

8月に開催したアルビノ甲子園の第1弾では、八尾市人権協会のスタッフに応援をいただきながら、みんなで協力するバーベーキューやアルビノ学生が語り合う「アルビノ学生あるある」を行いました。
「アルビノ学生あるある」では、学生さんから絞ったように出てくる言葉がとても印象的だったと話します。

アルビノ甲子園第2弾は「アルビノ学生あるある」をもとにして、人生のロールモデルとなる多様なアルビノ当事者のゲストスピーカーを招いて交流イベントを2月に開催しました。

アルビノ甲子園の成果として、今まで孤立していたアルビノ学生が、学生同士・若い年代が全国で横の繋がりができたこと。

また横の繋がりだけではなく、同じ経験、学生がめざしている職業、多様な生き方など、おとなの当事者を結ぶことができたこと。

そして、この取り組みを通して、新しく出会ったアルビノ学生や協力者ができたことが大きな成果があったと報告しました。




後半の参加者どうしの交流会では

4つの実践報告(episode)を受けて、参加者全員にの質問カードを書いて貰います。

そしてその質問カードに4団体が回答しました。当初の時間がオーバーするほど、熱く語っていただきました。

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★質問内容★
「当事者コミュニティの参加へ躊躇(ちゅうちょ)することはあるのでしょうか?」
「子ども時代を過ごす在日コリアンの課題は?どのように一緒に考えていくことが出来ますか?」
「子どもたちへの講座をするとき、どんな言葉で、何をどう伝えたらいいでしょうか?」
「国際的にアルビノの活動団体はありますか?」
「事業で具体的に苦労したことを教えください。」
「活動で精神的に行き詰まったことはありますか?」
「来年も、フリーペーパーや展示会がつづけれるのでしょうか?」 ・・・etc。

そして、3人のゲストスピーカーから・・・・


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田村太郎さん(一般財団法人ダイバーシティ研究所)
2014年度は、4団体とも当事者性がつよい活動でした。居場所は当事者のものでいいです。でも、なかなか共感と理解を得られにくいですよね。つぎのステップでは、こういう課題を抱えた人がいることをきづいてもらうような発信をしてもらいたいですね。それは家族や職場、周辺の人へのアプローチを視野にしてもいいと思います。また、人権協会さんからどんな力を借りたいかをラブレター(事業計画書)を書いてみてください(笑)。

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佐々木妙月さん(情報の輪サービス)
発表ありがとうございました。みなさんの活動をきかせてもらってよかったな~、うれしかったな~と本当に思いました。私もNPO法人を運営し、みなさんと同じように助成金を、どのように得ようかと毎年苦労しています。申請書をラブレターのように思いをどのように伝えるか、課題ですよね。人権NPO協働助成事業は、事業説明会、そして中間報告会、この実践報告交流会という育っていくステップの場を感じました。私もこの場に参加して勉強になりました。今後、人権協会には、助成金が取れなかった方々も、この場に参加していただき、交流する仕組みを、ぜひよろしくお願いします。


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奥田均さん(近畿大学人権問題研究所)
2014年度は大きなキーワードは、「つながり」であると思います。
アルビノ甲子園での学生の「つながり」、ほしぞらに集まる人の「つながり」、晴れほこ相談での「つながり」、出前講座での助成団体どうしや他のマイノリティー団体との異文化交流ような「つながり」。せっかく助成金で、つながったのだから、これで終わりはでなく、2015年度の助成先と緩やかにつながっていくことを人権協会が取り組んで欲しいですね。5年、10年で大きなネットワークになると思います。

最後にスライドショーで2014年度のとりくみをふりかえり、2015年度の助成金交付事業を発表。

そして、この場に参加した2015年度助成金交付団体の方から、これから取り組む思いをいただきました。

実践報告交流会終了後、参加者どうしで名刺交換を行うなど、バトンタッチとなる交流が深められた場となりました。


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各団体の実践報告の詳細につきましては、これまでの"とりくみほうこく"をぜひごらんください。




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  これまでの人権NPO協働助成事業のとりくみ

 

①2014年度「人権NPO協働助成金」のご案内

http://www.jinken-osaka.jp/2014/02/_1_42.html

②人権NPO協働助成金の助成事業が決定。

http://www.jinken-osaka.jp/2014/03/_1_49.html

③人権NPO協働助成事業説明会&ワークショップ。

http://www.jinken-osaka.jp/2014/04/_npo_1.html

④とりくみほうこく5月編① 

http://www.jinken-osaka.jp/2014/06/_1_55.html

⑤とりくみほうこく5月編② 

http://www.jinken-osaka.jp/2014/06/npo_1_3.html

⑥とりくみほうこく6月編① 

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/07/npo_1_4.html

⑦とりくみほうこく6月編②

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/07/_npo_1_2.html

⑧とりくみほうこく7月編①

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/08/_npo_1_1.html

⑨とりくみほうこく7・8月編

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/10/_npo_1_1_1.html

⑩とりくみほうこく8月編

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/10/_npo_1_3.html

⑪中間報告交流会

 (http://www.jinken-osaka.jp/2014/10/_npo_1_4.html
⑫とりくみほうこく9 月~10
月編
(http://www.jinken-osaka.jp/2014/11/_npo_1_5.html)

⑬とりくみほうこく11月~2月編

http://www.jinken-osaka.jp/2015/03/_keynpo_1.html

今後も人権NPOを応援する事業を検討し、より充実した内容へと発展させてまいりたいと思います。

皆さんのあたたかいご支援・ご協力よろしくお願いいたします。

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