2015年度 人権NPO協働助成事業 とりくみほうこく 7月 Part1
講師は「大阪子どもの貧困アクショングループ」の代表として活躍されている徳丸ゆき子さん。
参加者43名。(スタッフ・ボランティア・民生委員・区福祉課・教諭・子育て支援グループ・賛助会員その他)
短期支援事業を必要とするのは、ひとり親家庭が多い。そこで、シングルマザー100人へのアウトリーチ調査とその後の活動へと拡げてきている徳丸さんにその状況とその子どもたちへの支援ニーズについて、学びを得ることを目的としてこの研修を設定した。
<シングルマザーの状況より>子どもの貧困はバブルの時代でも10 人に 1 人の割合だったが、現在では 6 人に 1 人。物質的、金銭的な貧困だけでなく、お金がないために人と繋がることができなかったり、働くことや文化活動に参加できないことも貧困に含まれる。
そして、日本のシングルマザーの 8 割以上は働いていながら半分以上がワーキングプア状態。なのに行政が力を入れているのは就労支援で、生活保護施策のほうは不十分な状況。また、 2014 年 1 月には「子どもの貧困対策推進法」が施行されたが、予算はほとんどついておらず、数値目標もほぼない。
「子どもだけでなく親をまるごとサポートする体制、つまり"生活支援という福祉的視点"が大切」と徳丸さんは話しておられた。
<徳丸さんの活動より>
子どもの貧困は大人の貧困となって、また次世代の子どもの貧困へと連鎖しがち。徳丸さんは、貧困の状況にある子どもを見つけるため、夜回りを行うなどして子どもと出会っているそうだ。そしてお母さんたちと出会い、相談にのり、行政や民間団体・セーフティーネットに繋いで支援を行う。その際に、固くなった心を"ほぐす"ことで、信頼関係をしっかり築くことがとても重要とのこと。
<所感まとめ>
今回の準備事業である短期支援事業は、子どもの生活を短期間支援する事業であるが、それは親支援(*レスパイトケア)でもある。
*レスパイト(respite)とは、「休息」「息抜き」「小休止」という意味。
また、ほんの短期だが、親が安心して入院(受診)や就職活動などできるように支援することも想定している。行政の手が届いていない支援を民間で補うことになり、本来は行政として地域支援システムが作られるべきである。
今回の研修を通じて、支援が必要な人を見つけ、手を差し伸べるアウトリーチ調査、そして、行政や民間など必要なサービスにつなげながら、心と困難課題を「ほぐす」ことで直接支援へとつなげていく、そんな一連の活動にはまず「ニーズを把握した支援」を行うことが大切ということと学んだ。
必要な人はいても、私たちが知らなければ、お互いつながることができない。どのように出会っていくかが、大切な課題であると思った。
7月12日(日)第二回モデル実習 17時~20時
子ども一人(A子)に女性スタッフ二人で実施。夕食の料理をA子が自ら決めて率先して食材の買い物。帰りの道すがら「人生にあきた」と、子どものセリフとは思えない言葉。A子の日常のしんどさが伝わってくる気がする。料理の指示もA子がして、できあがりに満足のようす。顔見知りの来客スタッフ2人に、自分が作った料理をおすそわけして、「おいしい」「上手」の褒め言葉に嬉しそうにする。褒められることが、やる気にもつながる。こういう些細なことが大切だと思う。高校の話がでてきて、「進学したい気持ち」があるのだと感じた。A子の気持ちを見失わず寄り添いながら過ごせたらと思う。自宅まで送り届けたが、自宅は真っ暗で親不在。「近くの親戚のところにいっているのだろう」とA子にとってはよくあることのようで淡々とした反応。
7月22日(水)第三回モデル実習 17時~20時半子ども一人(B子)に女性スタッフ二人で実施。事業で利用している貸家の部屋内に「子どもにとって、あったらいいな」と思う備品をインタビューすると、モデル実習である認識があるB子は、今後のために協力している得意げな表情をしていろいろ答えてくれた。そのひとつが「時計」。なんと室内に時計がなかったと気づかされた。今回は銭湯ではなく、家の中にあるお風呂で入浴。B子は祖母以外、全員男性の家族。自分ひとりだけ女子なのは、気を遣うこともあるだろう。思春期の今後を考えて「いつでも困ったらお姉ちゃん(スタッフ)に言っておいで」と声をかけた。宿泊モデル実習に向けて不安な点は、B子は「枕がかわると寝れないかも」だったが、バスタオルを折ったものなら大丈夫とのこと。安心感がなにより重要なので、それぞれの子どもに対応し配慮できるよう進めていきたい。
7月31日(金)第四回モデル実習 17時~20時半
子ども二人(C男、D子)にスタッフ三人(男性スタッフ1人含む)で実施。兄のC男と一緒に参加のため、D子は安心しているようで、料理、食事、おしゃべり、遊びと、とても楽しそうに自由に過ごしてくれた。送り届けた際に保護者に「楽しかった」と言っていた。C男も楽しみにしてくれていて、たくさんおしゃべりをした。以前、夜ひとりで過ごしたときに、親が戻るまでご飯を食べずに待っていたという話も聞いた。そういうときのためのモデル実習であることをこちらも再度伝えることができた。今回は子どもが二人のため、スタッフ三人で実施した結果バランスのよい人数であったように思う。
<今月まとめ>
今月は研修1回。次回の研修は10月に予定している。3回行ったモデル実習では、それぞれ個性の違う子どもたちから、事業に必要な備品や環境などを聞き、いろんな場面を試みて、どういう場が子どもにとって安心で安全かの気づきを得ることが出来た。日帰り実習は1回残すのみ。その後は「お泊り実習」を予定している。
ブラジルにルーツをもつ子どもの居場所づくり事業団体名 プロジェクト・コンストルイル
「 わたしたちのルーツをさがす遠足 」
プロジェクト・コンストルイルでは、これまでブラジルの歴史を勉強してきましたが、7月19日にはじめて、ブラジル移住の歴史を学ぶために、出港地である神戸へ遠足に出かけました。小学校3年生から中学3年生の子ども16人と保護者6人で出かけました。1908年に、781名 の移住者を乗せた「笠戸丸」から、約25万人もの人が神戸の港からブラジルへと渡っています。遠足では船でブラジルへ移住したことの疑似体験として、関西空港から神戸空港行きの高速船に乗って出発しました。神戸についてから、子どもの希望で豚まんを食べるために南京町を寄って神戸の商店街などを散策しながら、「メリケンパーク」内にある「希望の船出」と書かれた神戸港移民船乗船記念碑に到着しました。暑さと歩き過ぎたこともあって、到着した時には、こどもも保護者も、ぐったりとしていましたが、ひいおばあちゃん、ひいおじいちゃんがここから出発したことを知ることができました。
記念碑のつぎは、神戸市中央区にある「海外移住と文化の交流センター」へ移動しました。ここは、1928年に国立移民収容所として設立されましたが、神戸移住教養所→外務省神戸移住斡旋所→神戸移住センターと、時代によって名称が移り変わり、現在移住ミュージアム・在住外国人支援・国際芸術交流の場として運営されています。
交流センターに到着すると関西ブラジル人コミュニティ(CBK)の代表の松原さんが受け入れてくれました。用意していただいたブラジル料理のランチを食べ終え、松原さんから、この移民のビデオを見ながら、船で約2か月近くかけてブラジルに渡ったことなど、当時のお話を話していただきました。
そしてミュージアムでは、当時の移民の歴史、移住前の教育、船内の暮らしなどが展示されており、子どもだけでなく、保護者たちも夢中になって見学しました。
また、当時移住した人の名前を調べることができ、保護者は祖父母の名前が見つかり、出発日・到着日、渡航先などを知ることができ、自分のルーツが発見できる機会となりました。
関西ブラジル人コミュニティが活動する母語教室や学習支援、絵画展を見学しました。また、子どもたちは移動などで疲れているにも関わらず、卓球や卓上のサッカーゲームなど遊びに夢中に遊ぶ姿には驚かされます。
子どもたちがブラジル移住の歴史を学ぶための遠足。自分のルーツをどのように感じて、考えたか、彼らの成長に少しでも役に立てればと思うばかりです。
ぜひ、みなさん、ブラジル移住の歴史を勉強するために、海外移住と文化の交流センターに行ってみてください。
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①2015年度人 権 N P O 協 働 助 成 金の助成事業が決定しました。http://www.jinken-osaka.jp/2015/03/_npo_1_7.html
②2015年度事業説明会&ワークショップ
http://www.jinken-osaka.jp/2015/05/2014npo_1.html
③とりくみほうこく 5月編 Part1
http://www.jinken-osaka.jp/2015/06/npo_1_5.html④とりくみほうこく 5月編 Part2http://www.jinken-osaka.jp/2015/06/npo_1_1_1.html
⑤とりくみほうこく 6月編 Part1
http://www.jinken-osaka.jp/2015/07/npo_1_6.html
⑤とりくみほうこく 6月編 Part2
http://www.jinken-osaka.jp/2015/07/festa_juninanpo_1.html
この人権NPO協働助成事業は、人権に取り組むNPO等のホップ・ステップ・・・を応援するために、事業収益の一部を活用して自主事業として取り組んでおります。より充実した内容へと発展させるために、皆様のあたたかいご支援・ご協力よろしくお願いいたします。