2004年あたりから「ニート」という言葉が広く知られるようになりました。ニートとは「Not in Education, Employment or Training」の頭文字をとったもので、「学生でもなく職業訓練を受けておらず、働いてもいない若者」という意味です。イギリスで使われている言葉ですが、定義は異なります。イギリスでは16〜18歳で失業者を含みますが、日本では15〜34歳で失業者は含みません。さらに家事従事者をニートに含めるかどうかで内閣府と厚生労働省の見解は分かれています。こうした区分けに対して批判的な人もいますが、ぼく自身は「ニート」という言葉や考え方が認知されたことを評価したいと考えています。
というのも、「ニート」以前に使われていた「ひきこもり」という言葉はマイナスイメージが強く、当事者たちを苦しめ、支援を難しくしていた部分があったからです。ずっと家にひきこもっている若者の存在が「ひきこもり」として知られるようになった頃、少女を誘拐・監禁するなどショッキングな事件が相次ぎました。それらの犯人が「ひきこもり」だったことで、一気に「ひきこもり」に対する眼差しが厳しくなったという経過があります。