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          【大阪府委託】令和4(2022)年度

      「おおさか相談フォーラム」を開催しました

 

 

 令和5(2023)年1月18日(水)、「インターネット上の人権侵害の相談に対する各相談窓口の対応を考える」をテーマに、「令和4(2022)年度おおさか相談フォーラム」をHRCビルにて開催しました。
 このフォーラムは、相談活動への関心を高めるとともに、「人権相談機関ネットワーク」加盟機関を始め、相談や支援を行なう相談員同士の経験交流や情報交換、相談員等のスキルアップができる場として実施しています。

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 第1部の基調講演では、「現代的な差別意識とインターネット上の差別書き込み等の人権侵害を考える」をテーマに、大阪大学大学院准教授の辻 大介さんにご講演していただき、「インターネット・SNSにおける人権問題の諸事例」では、集中的に誹謗中傷を受けて自殺に至った事例や新型コロナ感染者への誹謗中傷やデマ、2016年のアメリカ大統領選挙時のフェイクニュースや宇治市ウトロ地区放火事件のヘイトクライム等の差別事例の実態等を学びました。また、「なぜ問題が生じて拡がるのか」では、金銭目的で発信されるフェイクニュースやヘイト系サイトの問題や、インターネットは利用しやすい反面、匿名性による非難・批判しやすいことや心理的免疫の欠如、同質的意見や考えが反響し増幅し合うエコーチェンバー(共鳴室)の形成などのインターネットの特徴と危険性を学びました。「ネットで人権侵害を拡げないために」では、ネットの落とし穴に関する啓発や教育、ファクトチェックの必要性の周知と支援、法的処罰の周知や気軽な拡散の抑止、現代的な差別意識の拡がりなど、各相談機関における問題対処に向けた対応のポイントを学びました。


 第2部では、四條畷市 人権・市民相談課及び四條畷市人権協会から「ネット上の人種差別に関わる人権相談」について在日コリアンに対するヘイトスピーチ・差別書込みに関する相談事例を報告していただき、相談者からネット自体にヘイトスピーチの書込みが存在することは許されないとの問題提起を受け、ヘイトスピーチに関わる啓発の必要性を再確認しました。
次に、堺市 人権企画調整課からは、「部落差別に関するインターネット上のモニタリングの取り組み」について、インターネット上の差別表現の変化や課題、モニタリングの実施内容や注意点、削除要請依頼の可否判断の範囲について報告していただきました。


 第3部では、基調講演と2機関からの報告を踏まえて、参加者が8つのグループに分かれて交流や意見交換を行ない、部落差別に関するネット上のモニタリング後の削除の選定方法や削除の対象範囲の判断、ネットでのいじめの問題、いわゆる同和地区内の個人宅の表札等を動画で撮影するなどの個人情報漏洩の問題、同和問題の教育や啓発が重要であること、ネット上でのファクトチェックの必要性、できることから対応していくことなどの意見が出され、参加者それぞれの取り組みや課題を共有し合いました。

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 参加者から、次のような感想をいただきました。
 ・色々な市町村で行われているモニタリングの具体的な方法や課題を知ることがで

  きて、とても勉強になりました。
 ・現代的レイシズムに今の教育が効果を上げられていないということで、新たな教

  育的実践が必要だと思います。
 ・表現の自由と差別発言の摘発については判断が難しいと感じました。誤った情報

  かどうかの判断をするためには正しい知識が必要ですが、情報技術の発展は良し

  悪しだと感じました。
 ・ネットなしの生活は考えられないくらいの現代人権ということを学ぶこと、ネッ

  トの仕組みを学ぶこと、伝える、表現するということの方法も学んでいかないと

  いけないなと思いました。
 ・表現の自由と差別との境界線の難しさ、モニタリングの実施状況と削除要請の現

  状と効果についても理解が進みました。
 ・ネットの情報を真実だと思い込み、差別が拡散していくメカニズムがよく分かり

  ました。事実を知ることが大切であることを教育活動の中で伝えていきたいと思

  っています。
 ・悪質な書き込みやヘイトはネットで、しかも偏った情報のみで起こるプロセスに

  ついて理解を深めることができました。
 ・ネット上の差別落書きや誹謗中傷のこと、またフェイクニュースのこと、いかに

  フェイクであるかを見分けることの大切さがわかりました。