新着情報

          【大阪府委託】令和3(2021)年度

      「おおさか相談フォーラム」を開催しました

 

 令和4(2022)年221日(月)、「新型コロナウイルス感染症をめぐる偏見や差別、人権問題~」をテーマに、「令和3(2021)年度おおさか相談フォーラム」を開催しました。

 このフォーラムは、相談活動への関心を高めるとともに、「人権相談機関ネットワーク」加盟機関を始め、相談や支援を行なう相談員同士の経験交流や情報交換、相談員等のスキルアップができる場として実施しています。

 大阪市立西区民センターで開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるまん延防止重点措置が延長されたため、やむを得ずオンライン(Zoomを使用)での開催となりました。

 

 第1部の基調講演では、「社会心理学の視点からみるコロナ禍における差別と不寛容」をテーマに、近畿大学准教授の村山綾さん(国際学部 国際学科 グローバル専攻)にご講演していただきました。人は、病気の兆候を示す人を避ける行動免疫システムを備えている可能性、そしてそのシステムが暴走して過度のエラー管理がなされる結果、新型コロナウイルス感染に対する差別が生じうることを学びました。不安から自分を守るために、感染している人を避けたり、ルールを守れないからと非難をしたりすることに気づけました。対策としては、感染に関わる不安を理解し、その不安に個人レベル、対人レベル、社会レベルで介入する多層的なアプローチが必要と話されました。

 

 第2部では、新型コロナウイルス感染症に関わる労働や教育の相談・支援の現場における実態や様々な課題を、事例を通して、報告していただきました。

 まず、大阪労働局の森内豊さん(雇用環境・均等部 指導課)からは、同局の特別労働相談窓口における新型コロナウイルスに関わる労働問題の相談として、感染は労働者本人の健康管理に落ち度があると言われたことや後遺症による配置転換を求めたが果たされないなどの相談と対応例をご報告いただきました。また、裁判とは違う労働における紛争解決援助についてもご説明をいただきました。

 次に、特定非営利活動法人 関西こども文化協会の蔦田夏さんからは、大阪府すこやか教育相談や大阪市24時間子どもSOSダイヤルで受けた新型コロナウイルス感染症に関する教育相談として、両親の喧嘩は自分のせいだと思う子どもや、子どもとの適当な距離が取れなくなった親などの家庭内不安、親が仕事のことで不安や不満が多くなり家庭内でも不安が生まれる等の仕事の不安などの実態をご報告いただきました。子どもの人権を基本に、自分自身を受け止めてくれる大人の存在が必要であり、相談に求められることであると話されました。

 

 第3部では、基調講演とお二人からの報告を踏まえて、参加者が5つのグループに分かれて交流や意見交換を行ない、講師や報告者との質疑応答を通して、さらに理解を深め、コロナ禍における相談機関の大切な役割を果たしていることを確かめ合いました。

 

 参加者から、有意義なご感想をいただきました。ありがとうございました。

・コロナ禍において起こる差別や虐待、労働問題を勉強して、これはコロナ禍ゆえに明らかになっていますが、普段も様々な要因で同じような問題が起こっていることに思いを寄せたいと思いました。

・コロナ差別が生じるメカニズムを社会心理学という学問的知見から詳しく知ることができ、また労働や教育の現場で今どのような声が聞かれているのかを非常にリアルに知ることができました。

・どうして偏見や差別が起こるのかを理解していない人が余りにも多いと思うので、今日のようなフォーラムを日本中の数多くの方に受けてもらえたら、コロナに関する差別等がなくなっていくと感じました。