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【大阪府委託】令和2(2020)年度

 「おおさか相談フォーラム」を開催しました

 

 令和3(2021)年2月12日(金)、「ハラスメントにおける相談と支援 ~職場でのハラスメントを中心に~」をテーマに、令和2(2020)年度「おおさか相談フォーラム」を開催しました。

 このフォーラムは、相談活動への関心を高めるとともに、「人権相談機関ネットワーク」加盟機関や相談・支援にあたる方同士の経験交流や情報交換、およびスキルアップができる場として実施しています。

 昨年度は新型コロナウイルス感染症のため、やむを得ず開催を中止しましたが、今年度は初めてオンラインでの開催(Zoomを使用)としました。後半に実施したグループワークについても、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使用して、参加者同士で議論や意見交換等を行なうことができました。

 大阪府内市町村の人権担当課や地域の人権協会、様々な企業やNPOなどから、62名の方々が参加されました。



■内 容


 第1部では、講師の牟田和恵さん(大阪大学大学院人間科学研究科教授、社会学・ジェンダー論)より「人権の基本から考えるハラスメント問題」と題する基調講演をいただき、「セクハラ」をめぐる問題を中心に、ハラスメントに関わる相談や支援に当たる人が知っておくべき基本的な考え方などを共有しました。


○講演要旨

・セクハラが問題化し、対策も進んだが、本当に職場からセクハラが無くなり、女性にとって働きやすい環境が実現したといえるか。
・セクハラ対策が職場の風紀やマナー、思いやりといった表層的な対策にとどまってしまうと、被害者側が責められるなど、かえって女性への抑圧となりかねない。
・様々な問題の根っこには、女性の権利が抑圧されているという問題がある。そこを明らかにするために、ハラスメントを人権問題として考える必要がある。
・問題の背景には、男女間のジェンダー差がある。それがセクハラをめぐる認識のギャップなどにも表れている。
・セクハラは性的な被害と職業上の被害という多重性を持つ。セクハラは、女性の仕事が軽視され、職業上の地位が低くとどまっていることの原因であり結果である。
・ハラスメントを無くすためには、周囲が沈黙や追従によって被害者を孤立させず、サポートすることが重要。
・ほとんどのハラスメントは悪意をもって意図的に行なわれるわけではない。重要なのは加害者の処分よりも、被害者の就労・就学環境を修復すること。



 続く第2部では、ハラスメントをめぐる相談・支援の現状や課題と具体的な事例等について、それぞれの専門の立場からご報告をいただき、様々なハラスメントと、その背景にある差別・人権問題への理解を深めました。


▼報告① セクハラ・パワハラをめぐる相談・支援
報告者:大阪府労働相談センター(大阪府商工労働部雇用推進室労働環境課)職員


○報告要旨

・大阪府労働相談センターの機能・役割の紹介と、労働相談、職場におけるメンタルヘルス相談の説明。
・職場におけるハラスメント相談の事例(正社員・アルバイト・パート社員・派遣社員からのセクハラ・パワハラについての相談、使用者からのパワハラに関する社内体制整備についての相談など)と対応の解説。
・大阪府の個別労使紛争解決支援制度の紹介。


▼報告② レイシャルハラスメントについて

報告者:文公輝さん(特定非営利活動法人多民族共生人権教育センター事務局長)


○報告要旨

・レイシャルハラスメントとは、人種や民族、国籍等の違いに基づく差別的言動や不利益取扱いのことをいい、人種差別行為のひとつである。
・厚生労働省はパワハラに該当するかどうかを判断する要素のひとつに「労働者の属性や心身の状況」を挙げており、「属性」には「外国人であること」なども含まれることから、人種差別的言動の一部は、パワハラ防止法の措置義務対象となる。
・悪質性の高い人種差別的言動以外でも、意識的・無意識的にマイノリティに対して敵意や侮辱を伝えるような、些細でありふれた日常的な言動(≒マイクロアグレッション)が繰り返されることにより、心身の健康を損なう等、被害当事者にとっては敵対的で耐え難い環境となってしまう。
・「大したことない」「些細な」言動であっても、その言動で傷つく被害者がいることを理解した、適切な相談・支援が必要である。



 第3部では、基調講演と各報告を踏まえて、参加者がグループ別に交流や意見交換を行い、また、講師との質疑応答を通して、さらに理解を深めました。



■参加者の感想(アンケートより一部抜粋)


・初めての参加であったが、中身の濃い内容で、学ぶところが多くあった。

・古くからの慣習から抜け出すには、まだ時間がかかりそうではあるが、意識して発信することが重要と感じた。

・啓発において本心を変えるのが難しいことがあっても、社会の常識として対応してもらうという考えを教えていただき、参考になりました。

・大変勉強になりスキルアップさせて頂きました。ありがとうございました!