2018年度ハンセン病問題講演会
ハンセン病隔離政策における優生思想・優生政策は私たちから何を奪ってきたか
~「らい予防法」と「優生保護法」~
今年度のハンセン病問題講演会は、ハンセン病隔離政策における「優生思想・優生政策」について考えたいと思います。ハンセン病療養所では1915年より男性への断種手術が、光田健輔医師により始められ、以後30数年間、法的根拠もなく違法なまま実施され続け、当時の内務省、厚生省も暗黙の了解をしていたという歴史的事実があります。
1941年~1948年の「国民優生法」では、「遺伝性疾患の素質を有するもの」を対象としていましたが、戦後の「優生保護法」(1948年~1996年)では「不良な子孫の出生を防止する」という言葉を用い、「非遺伝性疾患」を加えて対象を拡大しました。「優生保護法」に新たにハンセン病患者、配偶者の断種・堕胎も加えられました。その人が持つ身体的、または精神的条件で「人間の価値」や「人の優劣」を決めつけ、国家にとって「生まれてきてもいい生命」(優秀な子孫)と「生まれてきてはいけない生命」(不良な子)を法律の条文で規定していました。ハンセン病を理由とする手術の数は、不妊手術が1551件、人口妊娠中絶手術は7696件です。長年、「優生保護法」の撤廃を求める運動が続けられてきました。
「優生保護法」廃止後、障害者団体や被害者は、人権を侵害されたとして補償や実態解明を国に求めてきましたが、国は「当時は適法だった」との理由で応じていません。現在、6地裁に提訴し裁判が行われています。「優生保護法」の下、優生手術や強制堕胎を強いられた人びとの受けた被害は、はかりしれないものがあります。ハンセン病回復者や家族、病気や障害を持つ人々が受けた被害の実相を明らかにし、現在も優生思想は根深くあることを見つめ直し、私たちの生き方を考える機会にしたいと思います。
(「開催にあたって」より)
日 時:2019年2月16日(土) 13:30~16:30 開場13:00~
場 所:大阪市立阿倍野区民センター 2階大ホール
資料代:500円(事前申し込みは不要です。)
※手話通訳・要約筆記あります。点字資料・テキストデータが必要な方は事前にお申込みください。
【内 容】
◆DVD上映
ハンセン病療養所で受けた私の被害ー断種・堕胎ー
製作協力:「もういいかい」映画製作委員会
◆シンポジウム
ハンセン病隔離政策における優生思想・優生政策は私たちから何を奪ってきたか
~「らい予防法」と「優生保護法」~
シンポジスト:青木美憲さん(国立療養所邑久光明園園長)
岩川洋一郎さん(国立療養所星塚敬愛園入所者自治会会長)
利光惠子さん(立命館大学生存学研究センター客員研究員)
コーディネーター:藤野豊さん(敬和学園大学人文学部教員)
【お問合せ】
ハンセン病問題講演会実行委員会事務局
〒542-0012 大阪市中央区谷町7丁目4-15(大阪府社会福祉会館3階)
ハンセン病回復者支援センター(加藤・兼田・井ノ山)
TEL 06-7506-9424 FAX06-7506-9425
E-mail shien-center@osaka-saiseikai.jp
主催 ハンセン病問題講演会実行委員会
共催 大阪府 大阪市 堺市