【大阪府委託】平成29(2017)年度
「相談事例研究会」を開催しました
人権相談機関ネットワーク加盟機関の相談員の皆様に、相談スキルの向上と、加盟機関同士の交流・連携を図るため、実際の相談事例を題材として検討・学習する「相談事例研究会」を開催しました。
大阪府内の4つの会場で、合計68人の方にご参加いただきました。
開催日時・場所
- 1回目 11月21日(火)14:00~17:00 箕面市立中央生涯学習センター3階講座室
- 2回目 11月28日(火)14:00~17:00 泉大津市役所3階大会議室
- 3回目 12月 5日(火)14:00~17:00 枚方市市民会館1階第1集会室
- 4回目 12月12日(火)14:00~17:00 大阪狭山市役所3階第1会議室
当日の様子
1.講義「ストレングス視点を生かした相談支援におけるスーパーバイズ」と「昨年度の相談事例の解説」など
○ストレングス視点とリフレーミングを重視する
・ストレングスの視点とは、相談者の心理的、身体的、情緒的、社会的、精神的なあらゆる面のプラスの側面に焦点をあてること。
・相談者のストレングス(プラスの側面)とは、表面化されているものだけではなく、相談者の思いや将来、潜在的な力、環境や人などを指している。
・援助者がリフレーミング(否定的なことを肯定的にとらえなおすこと)できる力をもつことが大切。参加者同士でリフレーミングの実践をした。
○ストレングスを重視したアセスメント
・アセスメントは、相談者の生活全体の情報を整理する段階であるため、常に相談者とともに策定していくことが大切。
・アセスメントでは、相談者の生活課題を評価するのではなく、「おもい」や願い、成長などを肯定的に捉えた具体的な内容であることが求められる。このような「おもい」は、アセスメントではストレングスとして重視される。
・「相談の現在地はどこなのか」という意識で、相談の展開をイメージしながらアセスメントのための情報収集を行う。
○ストレングス視点を生かした※1プリセプター制度や※2ピアスーパービジョン
・援助者(相談員)が実施した相談について、相談のあり方などを振り返るためにはスーパービジョンが必要。
・支援が独りよがりにならないこと、困難事例を一人で抱え込まないようにする。そのためにもプリセプター制度やスーパービジョンで(支援について)他者からの評価を受けることが必要。
※1プリセプター制度とは、プリセプター(先輩看護師)がプリセプティ(新人看護師)をマンツーマンで教育・指導すること。
※2スーパービジョンとは、スーパーバイザー(指導する者)とスーパーバイジー(指導を受ける者)との関係間における対人援助法で、対人援助職者(医療福祉教育現場、特に相談援助職)が常に専門家としての資質の向上を目指すための教育方法。ピアスーパービジョンとは同僚や仲間同士でスーパービジョンを行いあうこと。
2.相談事例の報告
事例研究会では相談機関から下記の相談事例を報告していただきました。(相談事例の概要は下記からPDF・WORDファイルをダウンロードできます)
■第1回 近隣住民からの暴言・嫌がらせ・脅迫を受けた人への支援
近隣住民からの暴言・嫌がらせ・脅迫を受けた人への支援.pdf
近隣住民からの暴言・嫌がらせ・脅迫を受けた人への支援.doc
■第2回 アルコール依存症による飲酒運転で事故を起こした人への生活全般と就労支援
■第3回 生活保護を受給している孫から金銭を要求されている人への支援
■第4回 知的障がいのある子どもの写真を撮られ、SNSで拡散された人への支援
3.グループワーク
5~6人のグループになり、発表のあった相談事例をもとにグループワークをしました。相談者のストレングスに重点をおいて、どのような支援や連携ができるかなど対応策について話し合い、模造紙に書き出しました。
グループごとに、グループワークで作成された模造紙の内容を発表しました。また、これらの内容について、講師からアドバイスや情報提供をしていただきました。
参加者の声(アンケートより)
・課題について、1つの機関で解決しようとしなくてよい。複数の機関が関係する場合も、中心となる担当者を決めてケースワークを行っていけば解決できることがよくわかりました。
・1つの相談事例について、時間をかけて議論ができたため充実していました。
・ストレングスの視点が参考になりました。相談員も一人で抱え込まず相談することの大切さを再認識しました。
等のご意見がありました。
ご参加くださった皆様、事例報告をしてくださった皆様、ありがとうございました。
来年度も、相談員同士のさらなる相談スキルの向上と、交流・連携ができるよう「相談事例研究会」を開催する予定です。ご参加、ご協力のほどよろしくお願いいたします。