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【大阪府委託】平成29(2017)年度

「おおさか相談フォーラム」を開催しました



平成30(2018)年1月25日(木)13:30~16:40、HRCビル5階ホールにて、「おおさか相談フォーラム」を開催し80人の方にご参加いただきました。

当日の様子

部 基調講演  

『精神疾患の特性から相談に求められること』

渡辺洋一郎さん (メディカルメンタルケア横山・渡辺クリニック 名誉院長)

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○病気の特性に関して、こちらの思い込みで決めつけないことが大切。うつ病は脳の機能の働きが弱くなっている、脳の機能障害。身体疾患と同じで薬物治療と休養が不可欠。統合失調症について、どういった場合に、どのような症状が起こりやすいかを知ることが大切で、本人とまわりの人も理解することが必要。

○精神疾患については、特に初期には薬物療法と休養が必要。自然に働きたくなるまで待つこと。気になることは一旦棚上げし、回復してから考えること。

回復期になると病状に変動があるので、一喜一憂しないこと。

○受診を勧めるポイントは、疲れているのに眠れない、好きなことが楽しめないなどの状態が2週間以上継続する場合といわれる。しかし、同様の状態が3日以上続いた時は受診すればよい。また、受診を拒否する人には受診についての「不安」があるので、それについて話を聞いていくことが大切。これは服薬に対する場合も同じ。

○上手な話の「きき方」としては、相談者の発言等から「事実」「考え」「気持ち」「期待」について確認できるように話をきくこと。そして本人が本当に言いたいのは「気持ち」と「期待」であり、「気持ち」と「期待」が伝わると「分かってもらえた」と感じる。そうすると本人は気持ちが楽になり、意欲がよみがえってくる。

○幻覚、幻聴への対応は、幻覚や幻聴が疑われる場合でも訴えを否定したり幻覚妄想と断定したりせず、相談者の体験をありのままに聞くこと。そのうえで「あなたにしてみたら・・・と思っているのですね」と本人の感じている感情に共感すること。そして、その状況のために生じている不安や症状について聞き、加療などを進めていく。

等々90分にわたりお話いただきました。

【参加者の声】

・支援者として直面する問題、例えば相談者の受診の必要性の問題や受診の促し方、また支援拒否する相談者の背景が理解できた。とても有意義な時間でした。

・相談に求められる基本的な心構えから精神疾患のある相談者の特徴や対応方法など、とてもわかりやすくご説明いただき有意義な研修でした。




 部 分科会


《分科会
A

 『医療と連携した精神障がい者の就労支援』事例紹介

報告者:茂木省太さん

(NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク JSN新大阪アネックス所長)
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○データをもとに障がい者の就労(雇用)の現状とハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者福祉サービスでの就労の形態について。

○医療との連携、企業との連携の事例としては①~④のものがあり、具体的には、①事業所の概要、訓練内容の説明、②3点セット(ご本人へのアンケート、医療機関で書いてもらう医師意見書、支援機関事前アンケート)をもとに判定会議、③役所からの支給決定、④面談を行い目標を決めて訓練開始というもの。これは実際の大阪精神障害者就労支援ネットワークでの就労支援の内容。

○一般的に、精神障がい者については「就職」はできるが、働き続けることが難しいのが大きな課題。大阪精神障害者就労支援ネットワークは『継続的な就労をする』ことを目的に支援を行っており、その実績として、平成19年6月の設立時から平成29年3月31日までの間、337人が就職し、そのうちの約70%が就労継続している。

○医療機関・企業との連携のポイントは「情報共有」。それと、支援する側は明確に「役割分担」をしたうえで本人支援の役割を果たすこと。

○「血の通った」連携をとるための10項目について。

IMG-4462.PNGのサムネイル画像等々のお話がありました。





茂木さんのお話をうけ、その後4~5人のグループにわかれ、質問や支援をするうえで抱える大変さなどをお互いに共有しあいました。



【参加者の声】

・就職先との連携が必要だと感じました。



《分科会B

『精神的に課題のある人への生活面での支援』事例紹介IMG-4452.PNG

報告者:岡 幸一 さん 

 (社会福祉法人精神障害者復帰促進協会 法人本部統括部長) 

○精神障がい者とはどのような人か?精神的な疾患等があるゆえに生活しづらさを抱えて生きている人。

○精神障がい者と関わるうえで大切なのは、その人なりに頑張ってきていることを認めること。病気や障がいのその部分だけにとらわれないこと。その人(精神障がい者)の生活背景、置かれている状況、人との関係性等その人の周辺を含めて見ていくことが大切。早急に結果を求めないことが、大切な視点。

○支援の事例としては、精神障がいがあり、自宅がゴミなどでいっぱいになっている方に対して、ご本人と相談しながら、ご本人の納得のもとに家の中のものを処分するなど。役所の窓口に行く場合も、少しずつできるところから一緒に行くような支援を続けてきた。

○精神障がいのある方を、地域で支える専門職として大切にしていることは、①相手の気持ちを受け入れる、②支援者の気持ちを相手に投影させない、③相手と駆け引きをしない、④相手をコントロール(管理下)しないこと、等々のお話がありました。

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その後4~5人のグループにわかれ、報告者への質問や日ごろの相談での問題点などを出し合い、交流を行いました。



【参加者の声】

・参加者同士が交流をする中で、互いの苦労をきき、また講師の事例から参考になることをたくさんきけてよかったです。

・本人の自己決定を支援しながら、本人にとって必要な支援者を呼びかけ、チームで支援していくことが大切だと感じました。

・支援者のエゴではなく、利用者の将来像に近づけることが利用者の自立(自律)につながることを再認識できた。



【おおさか相談フォーラムについての声】

・ひき続きこのような相談フォーラムが続くことを望みます。 



★今後取りあげてほしいと思うテーマ等について

・「困難事例」に基づく対応例(成功例、失敗例)

・今回の精神障がい者のテーマが非常によかったので、次回もお願いしたい。



なお、【参加者の声】はアンケートにご記入いただいた際に「ホームページ等に掲載してもよい」と了解いただいている内容のみを掲載しています。




 ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 今後も皆さまから頂いたご意見を参考に、相談業務に役立てていただける「おおさか相談フォーラム」を開催していきたいと思います。