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【大阪府委託】平成27(2015)年度

「おおさか相談フォーラム」を開催しました



 平成28(2016)年2月2日(火)13:30~16:40、HRCビル5階ホールにて、「おおさか相談フォーラム」を開催しました。70名の方にご参加いただきました。



当日の様子

部 講演会

 住むことへの支援を通じて様々な相談ごとを解決する」と題し、精神障がい者など社会的に弱い立場にある方々に部屋をあっせんすることを通じ、自立支援に取り組んでいる阪井ひとみさん(NPO法人おかやま入居支援センター理事、阪井土地開発株式会社代表取締役、2014年シチズン・オブ・ザ・イヤー受賞)にお話いただきました。



 阪井さんが入居支援をはじめたきっかけは、19年前、入居者のおひとりが心の病になったこと。その方の通院をサポートするうちに、病院から、「実は同じように困っている人がいる」と相談され、精神障がい者のある方の入居支援がスタートしたそうです。

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阪井さんの取扱う物件である「トキワソウ」は、岡山県の精神科医療センターの近くにあるアパートで、主に長期入院の方が入居している物件です。

  精神障がい者の方は、入院すると部屋の退去を求められ、せっかく買った冷蔵庫や洗濯機などを処分されてしまうことが多いそうです。それが嫌で病院に行くのを我慢してしまう。でも、安心して帰れる場所があると分かっていれば、我慢せずに早めに病院に行くので、入院することになっても短期で帰ってこられる。「トキワソウ」はそのような「帰る場所」の役割を果たしています。

 「トキワソウ」の部屋は、すぐに入居できるよう、照明器具やエアコンが備え付けてあります。一方で、一律に即必要というわけでないコンロは置いていません。入居者の希望により、電子レンジやポットなど、本当に使いやすいものを置くことにしているそうです。その人が本当に必要なものを用意する、という姿勢が貫かれています。


  また、同じく精神障がい者のある方が多く入居している「サクラソウ」というマンションでは、24時間使える「居場所」が1階に用意されています。入居者同士の交流や入居者の症状の把握などに効果を発揮しているそうです。さらに、「カフェ」の設置や、「おばちゃん料理教室」など、自立生活に向けた様々な取組みが実施されています。


 生活が安定してくると、次は働きたい、と考えるようになります。そこで、阪井さんが立ち上げたのが「株式会社かいしゃ」です。「カイロス」という建物を拠点に、入居者の方々が、カレーを作って売ったり、草抜きをしたり、自分ができる仕事をして、お給料をもらっています。


 「カイロス」では、このほかにも、精神医療の歴史を知るための資料展示を行ったり、2ヶ月に1度、精神医療に関わる医師の協力を得て「精神医療今昔放談会」を開催しています。「岡山駅から920歩の距離なので、是非来てみてください」とのことです。


 さらに、ホームレスの方への支援の取組みもご紹介いただきました。元々、岡山大学の下宿だった部屋を探してきて、家賃1万円でホームレスの方々に貸したところ、入居後、次々に就職先が決まったそうです。「住所がない」ということだけで門前払いされていましたが、履歴書に住所が書けるようになったことで就職できるようになったということです。



 最後に、公営住宅について厳しいご意見がありました。ホームレスへの方への住宅供給などは、本来、公営住宅の役割のはず。でも、日本の公営住宅はセーフティネットとしての機能が果たせていない。とりわけ、保証人の要件が厳しく、本当に困っている人が入居できない現実がある、との指摘がありました。



 不動産業の仕事を軸に、様々な困難を抱える人を、「居住」から支援している様子を、パワフルに、またユーモアを交えて話してくださいました。相談者との関係では、同じ目線、「win-winの立場」を常に心がけているというフレーズが印象的でした。目の前にある問題から学び、工夫して活動の幅を広げる阪井さんの行動力から、多くのことを学ぶことができました。



部 分科会

【Aグループ】 阪井さんの取組みについてさらに詳しく知りたい方にご参加いただき、『居住支援の実践から様々な相談へ』のテーマで入居後のサポートについて質疑応答も交えながら、さらに詳しく解説していただきました。

        

 会場からは、高齢者が入居する際の保証人の問題や、疾病を抱え親の年金を頼りに生活をしている引きこもり状態の子ども達の支援の問題などに関して質問がありました。

 このほか、参加していた大阪府住宅まちづくり部都市居住課から、高齢者、障がい者、外国人、子育て世帯などの入居を拒まない民間の賃貸住宅と、その仲介を行う不動産事業者などの情報を伝える「あんしん賃貸検索システム」の紹介がありました。



【Bグループ】『生活困窮者支援』についてもっと知りたい方、相談員同士で情報を共有したい方にご参加いただきました。
 まず、大阪府社会福祉協議会「はーと・ほっと相談室」の堀山恭一さんから事例報告を受け、その後、グループワークを通じて、その事例の背景にある様々な問題と解決策を考えながら、参加者同士の交流を深めました。

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(グループワーク後の参加者の声(一部))

・就労支援が重要だが、職場定着は難しい。

・生活保護で対応すべき事案か、生活困窮者自立支援で対応すべき事案かを見極めることが重要。

・病気がある人がいるので医療との連携ができないか?

・地域のケースワーカーとの連携が大事だが、ワーカーが抱えているケースが多すぎて連携する時間が取りにくい。




参加者の声(アンケートより)

・住居(衣・食・住)の確保があって次の支援に繋がるということを、あらためて考えさせられました。

・不動産屋さんという立場から、生活を支援するという熱い思いを持たれ・・・いろいろなノウハウを作り、きずなを作り、活動されているお話を聞き素晴らしいと感じました。(分科会Aグループ参加の方から)

・ネットワーク、相談者との信頼関係があってのことだと思います。これからの私の業務にも参考にしたい。(分科会Bグループ参加の方から)

・いろんな相談に関わっておられる方と交流ができ、つながりができてよかったです。

など、たくさんの感想をお寄せいただきました。



 ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 来年度も皆さまに有意義な時間をもっていただけるよう『おおさか相談フォーラム』の企画を考えてまいります。