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![]() ![]() ![]() 逸見大輔(いつみ・だいすけ)さん 富士火災海上保険株式会社 人権推進部長 |
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私たち富士火災海上保険株式会社は、2008年11月から自社のホームページのリクルート情報に「採用面接と人権推進」のページ(※1)を設けました。採用面接時に、本籍や生い立ち、家族構成、家族の学歴や職業など、「就職差別につながるおそれのある質問は行いません」と宣言しています。 |
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このような宣言をし、会社としての姿勢を明確にすることによって、応募される方の余計な不安を取り除き、採用面接をスムーズに進めることができるようになりました。採用には大変なコストがかかります。特に新卒採用は、社会経験のない学生を社会人として育てていくという意味においてもかなりの経済的・人的コストがかかります。入社後に「実は適性がなかった」などということを極力なくすには、限られた面接時間で応募者の能力や適性をしっかりと把握することが求められます。 |
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人権に対して敏感であるという姿勢を明確にすることのメリットは他にもあります。採用にいたらなかった人も、お客様という形でつながりが生まれる可能性があります。その時、会社に対する信頼感は非常に重要です。また、社員となった人は、今度は自分が人権に敏感であることが求められます。特に私たちの仕事は事故が関わる保険を取り扱うという性質上、さまざまな個人情報が集まってきます。一方で、社員とお客様との信頼関係が契約に結びつくことが多く、関係性が深まれば深まるほど、個人的な様々な相談を受けやすくなり、個人情報の漏洩に結びつく恐れのあるやりとりも生まれがちです。そんな時、安易に答えるのではなく、一呼吸おいて考えられるかどうか。こうした感覚は、「これを言ってはいけない」「こういうことを聞いてはいけない」というマニュアルでは培えません。採用時の面接をはじめ、人権研修や職場での取り組みを通じて、常に「人権を本業の基本において、業務を遂行する」というメッセージを発信していくことが重要だと考えています。 |
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研修もただおこなえばいいというものではありません。研修の中で何かに気づき、考え方や生き方を振り返ってもらえるような研修をおこなうために、講師や教材の情報収集は欠かせません。当社は大阪同和・人権問題企業連絡会(※3)や東京人権啓発企業連絡会に加盟し、労務管理や採用、人権推進に携わる社員は積極的に外部研修に参加しています。情報収集もさることながら、建設やメーカーなど異業種の方々と出会い、社会で働く者同士という意識でおつきあいさせていただくことはとても勉強になります。こうしたつながりを通じて、研修講師の大学教授や専門家の方々と出会えることもありがたいことです。
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