「特別措置法」終了の直前に出された、2001(平成13)年の府同対審答申は、 府同促協をとりまく状況の変化について指摘すると共に、新たな時代の府同促協・地区協議会のあり方について、次のような評価と改革の方向性を示していました。 府同促協をとりまく状況の変化については、第一に、地対財特法の失効により、これまでの府同促事業のうち、特別措置としての同和対策事業を促進する機能に関する部分は、この限りにおいて終了すること。第二に、大阪府人権施策推進基本方針において「人権施策の推進にあたり、府と市町村が密接に連携し、市町村単位では実施困難な事業等については府が積極的に推進するとともに、企業やNPO等の諸団体との連携を深め、協働関係の構築を図ることが必要である」と示されたこと。第三に、2000年度に実施した実態調査などによると、教育の課題、労働の課題が残されているとともに、府民の差別意識の解消が十分に進んでおらず、部落差別事象も後を絶たないなど、同和問題が解決されたとはいえない状況にある、といった点です。 そして、府同促協については、2002(平成14)年度以降のあり方として、同和問題を中心とした人権啓発、人権相談等人権問題に取り組んできた貴重な実績とノウハウを踏まえ、府・市町村が共同して、同和問題解決のための施策をはじめ、人権施策を推進していくための協力機関として位置づけること。そして、その役割としては、人権啓発や人権相談活動、これらの活動を通じた同和問題をはじめとする人権侵害の実態に取り組み、地域住民の自立支援、同和地区内外の住民の交流促進を図り、差別のない地域社会・コミュニティづくりをめざす。そして、それに相応しい名称、組織体制、事業内容等に改組する、というものです。 地区協議会については、これまで同和問題解決に携わってきた貴重な実績とノウハウをもつことから、市町は、今後の府同促の改組の基本方向を踏まえ、地区協議会を周辺地域の住民も参加した地域での取り組みを推進する組織として整備し、人権施策等を推進するための協力機関として引き続き活用することが望まれるとしました。そして、地域協議会の基本的役割として、改組後の府同促と連携し、その支援を受けるとともに、地区施設と連携を図りながら、周辺地域を含むさまざまな相談活動を通じた地域住民の実態・ニ-ズの把握、地域住民の自立支援のための一般施策の普及・定着、同和地区内外住民の交流促進を通じてのコミュニティづくりなどの機能を担うことが期待されるというものでした。
こうした状況を受けて、早くから進めてきた特別措置の終了に向けた事業改革の取り組みと共に、同促協改革の取り組みが進められました。それは、①これまでの成果を後退させない、②新たな矛盾、差別の予兆(失業に対する不安・新しい環境適応への不安・情報の偏在への不安)に対応する、③人権行政へと事業を拡大する(人権侵害の発見と身近な相談機能を担う・人権行政の「ひとづくり」を担う・人権の「まちづくり」を担う)、④地域人権センタ-(隣保館)のあり方と関連づける、⑤他の類似法人(団体)との関連を検討する、⑥独自事業を検討する--といった視点を柱とした取り組みです。 そして、これからの「府人権協会・地域協議会」が果たすべき役割を整理し、(1)部落(差別)の実態を把握する役割、(2)同和地区住民などの自立支援機関としての役割、(3)人権尊重のまちづくり支援機関としての役割、(4)人権行政創造に貢献する公益法人としての役割、(5)部落問題解決、人権行政推進のための人づくりの役割--の大きく5つ役割を認識することを確認しました。
大阪府は、これらの経過の中で、府答申の趣旨等に基づき、当協会をあらためて同和問題解決をはじめとした人権施策推進の協力機関と位置づけ、当協会に対し積極かつ具体的な提案を行い、市町村とともの財源確保による新しい事業構築と事務局体制の確立を図ったのです。
当協会は、こうした経過の上に立って今日の組織体制と事業を構築し、新しい事業の定着・拡大などの取り組みを進めてきました。そこで、この6年間を総括しつつ、あらためて今後の人権協会のあり方について、①(財)大阪府人権協会の位置づけについて、②(財)大阪府人権協会が果たすべき役割と機能について、③(財)大阪府人権協会と市町村の人権協会、人権地域協議会等との連携・協働のあり方について、④(財)大阪府人権協会の組織・体制、経営基盤について--を検討内容の柱に、まず協会内で積極的に論議・検討を重ね、当協会の必要性や役割、新たな課題も含めた取り組み課題・改革の方向性をさらに明確化していく取り組みを進めているところです。
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