![]() |
![]() ![]() ![]() 大森 順子(おおもり じゅんこ)さん NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむ・関西 |
![]() |
![]() |
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西や子ども情報研究センターのスタッフとして、あるいは堺市の子育てアドバイザーとして、子育てに関する相談を受けることが多くあります。そのなかでつくづく実感するのは、今は本当に子育てが難しい時代だということです。私は900戸からなる大規模な団地に住んでいます。現在22歳の娘が小学生の頃は子ども会活動が活発でしたが、今は「役が回ってくるから」と子ども会に入ることを避ける人が増えています。また、隣近所のつきあいも少なくなり、ここ数年のうちに入ってこられた人は顔も知りません。子育てアドバイザーの集まりで聞いた話ですが、最近は「知らない人としゃべってはいけない」と子どもたちに指導する学校もあるようです。気軽に通りすがりの子どもたちに「おはよう」「おかえり」と声をかけにくくなりました。こうしたなかで、子育ての大半を担う母親へのプレッシャーは強まる一方です。 |
![]() |
なかでも家計と子育ての両方を一人で担うシングルマザーにとって、地域のつながりがないのは大変なことです。私自身もシングルマザーなのですが、子どもが幼い頃は学童保育で知り合った仲間や近所の人たちに夕食を食べさせてもらったり、預かってもらったりしました。仕事が忙しくなった時に母親の入院が重なった時には、親しくしていたゲイの友人たちに交代で保育園のお迎えや夕食づくりを頼みました。こうしたつながりは、私にとっても娘にとってもとても大きな支えでした。学童保育で一緒に育った子たちとは今でも娘の一番の仲良しで、きょうだいのようにつきあっています。 |
![]() |
いわゆる子連れ再婚のステップファミリーや国際結婚、そしてひとり親家庭など、家族の形は多様です。にも関わらず、「両親と子ども」を理想的な家族とする“家族幻想”は根強くあります。私はシングルマザーからの相談も受けますが、「お父さん役」と「お母さん役」の両方をやらなければという思いや、「後ろ指を指されないようにがんばって育てないといけない」という気持ちがものすごく強いのがわかります。それだけ子育てを母親一人の責任にする社会のプレッシャーやひとり親家庭に対する眼差しが厳しいのだと思います。 |
![]() |
自分の経験からも、子育てを親だけが抱え込んではいけない、抱え込ませてはいけないと言いたいのです。子ども家庭サポーター養成講座の講師としてお話することがありますが、「ひとり親家庭は虐待が多いと思いますか?」と質問すると、必ず「多いと思う」と答える人が3分の1はいます。悲惨な虐待事件でひとり親家庭であることや母親のボーイフレンドが虐待していたことを強調されることが多いので、そんなイメージがあるのでしょう。けれど実際にはひとり親家庭かどうかではなく、悩みを話せる友人や近所づきあいのいない、「孤立した母親」が虐待してしまうケースが一番多いのです。母親が多いのは、子育てを担っているのが圧倒的に母親が多いからです。 |