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![]() ![]() ![]() 大賀 喜子(おおが・よしこ)さん 日之出の絵本制作実行委員会 ![]() |
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大阪市東淀川区にある日之出地区は、新幹線が町を二分する典型的な都市部落です。来住者が多く、部落産業はなく、行商や土木作業などの雑業のまちです。わたしは44年前、結婚と同時に日之出地区へ来ました。見るもの聞くものが異文化で、興味をそそられました。葬式やとっくりかえし(婚約披露式)、結婚式などの酒の席で話される昔の苦労話は、軽妙で滑稽な人情味あふれる語り口でした。深刻な差別や貧しさを語っているのに、底抜けに明るいのはなぜだろう。不思議に思ったわたしは、ムラの人々の生い立ちを徹底的に聞き取り始めました。 |
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2001年、思った以上に早く、絵本をつくる機会がやってきました。「部落差別と貧困のなかを助け合って、しぶとく生き抜いた先輩たちの姿をムラの誇りとして子どもたちに伝えたい」という声が挙がり、日之出の絵本制作実行委員会が立ち上げられました。地元の父母、地域の保育所、小・中・高校の教師ほか有志30数名が集まり、熱い議論を交わしながらの絵本づくりでした。 |
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絵本には、「おたまさん」が隣近所の人々と“おかいさん”を分かち合いながら生きていく姿を描きました。おたまさんが唱える「おかいさん おかいさん ぐつぐつ ふつふつ こーい こーい。さあや はえ やれ ひとつまみ ぱっ」の呪文。「こーい こーい」は地域に伝わる子守唄から、、「さえ はえ やれ」や絵本の最後の「ほほい しゃん」は地域に伝わる中島音頭から採用しました。 |
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絵本制作の段階から、作ってしまったら終わりではなく、絵本を活用しようと準備を整えてきました。青少年会館で外部に公開して朗読ボランティア講座を開催し、朗読講師を養成して学校や子ども会での読み聞かせ活動を行なってもらっています。地元はもちろん、各地で原画展も行ないました。2年前7月には山形で開催されました。高校生集会や支部大会でも絵本のスライド朗読を行い、集会を盛り上げています。また、平和教材として、戦後の生活を学ぶため、部落問題学習の導入など、多様な切り口で活用されています。 |