人権問題 基礎知識

高齢者の人権問題

わが国では、2015年に4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えると予測されています。加齢に伴なう判断能力の低下や身体機能の減退は、個人差がありますが、仕事や社会参加の意欲を持ち、実際に活躍している高齢者もたくさんいます。しかし、一方では、意欲があるにも関わらず、年齢を理由に社会参加の機会を奪われたりするケースも少なくありません。また、一人暮らしの高齢者や認知症の高齢者、障害や疾病を有する高齢者などの中には、日常生活において財産や金銭を搾取されたり、暴力やいじめにあうといった権利侵害の事例も見受けられます。
 厚生労働省がまとめた「家庭内における高齢者虐待に関する調査」の結果では、虐待と考えられる行為を受けた高齢者の数は過去1年間において約7千8百人にのぼっています。また、孫や子どもを装って電話をかけ、金銭をだましとるいわゆる「オレオレ詐欺」の昨年1年間の認知件数は、6,504件、被害総額は約 43億1,800万円にのぼり、その被害者は、60歳以上が8割であり、うち70歳代が最多の4割を占めました。
 高齢社会を豊かで活力あるものとするためには、支援を要する高齢者に適したサービスを確実に提供するとともに、高齢者自らが生きがいを持ちながら、それぞれの豊かな経験や能力を生かし、積極的に社会参加できるような環境づくりが必要です。

出典:『大阪府人権施策の事業実施計画及び実施状況』(平成16年度版)