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人権が尊重される社会をめざして ~提言~

(1)人権侵害の防止及び人権救済システムの確立に向けて

1.人権啓発・人権研修・人権教育等の充実

 人権侵害の当事者、とりわけ侵害行為者の意識として人権問題に対する認識が低い場合が少なくないことから、職場、学校、地域などあらゆる場における人権啓発・研修・教育の充実が求められています。
 また、「差別の原因として、差別される人の側にも問題がある」とする意見も見受けられることから、府民全般に対し、人権問題についての認識等を高めておくことができるよう、日頃から、人権啓発・研修・教育の充実に努めることが必要です。

2.幅広い人権相談窓口の整備

 人権侵害を受けた被害者は、一人で思い悩むことも多いため、「いつでも、どこでも、誰でも」相談を受けることができるような相談体制の整備、とりわけ、地域において身近に相談に行くことができる窓口を、幅広く整備していくことが求められています。
 また、近年、児童虐待事件や、配偶者等からの暴力(DV)の深刻化などが大きな社会問題となるなか、人権侵害はより一層複雑化・多様化してきています。
 これらの人権侵害事象の早期発見・未然防止を図るためには、行政の相談機関をはじめ、NPOなどの民間相談機関とのネットワークの整備と連携による、身近なきめ細かな相談体制が必要です。

3.緊急時への対応

 DVや児童虐待に多く見られるように、人権侵害を受けた被害者に対しては、その保護を十分なものにするため、初期対応が極めて重要となるケースが多く、そのためには、緊急時の一時保護や緊急入所を含めた迅速かつ適切な対応により被害の拡大防止に努めることが必要です。事案に応じて、迅速かつ的確に対応するため、関係機関はもとより、地域住民をも巻き込んだ、幅広くかつきめ細かな連携を図るとともに、既存施策・制度や施設の効果的な活用が求められます。

4.利用できる施策・制度、施設等の周知徹底及び情報提供

 人権侵害を受けた被害者は、当事者が利用できる施策や制度についての知識、あるいはどこに相談すればよいかについての情報に乏しい場合が多く、被害者の円滑な救済のためには、日ごろから、人権侵害を受けた被害者が容易に利用できる様々な制度や相談窓口について、周知徹底しておくことが求められており、市町村等による広報誌、ホームページ等あらゆる広報媒体等を活用した情報提供体制を整備しておく必要があります。

5.地域における被害者の心身のケアのための体制の整備・連携

 人権侵害を受けた被害者は、DVやセクハラなど心身にダメージを受けている場合が多く、その支援のためには、地域の行政機関をはじめ、関係機関が相互に連携しながら、被害者の心身のケアのための体制を整備し、継続的に支援していくことが求められています。このため、行政機関や医療機関、社会福祉施設、NPO等さまざまな団体との積極的な連携が必要です。

6.インターネット上における人権侵害への対応

 インターネット上の電子掲示板等の環境が整ってきたことによって、個人の自由な情報発信が可能となり、重要な表現手段となっているが、利用者のマナーやモラルのなさから、人権侵害事象も多発するようになっています。具体的な事例に即した取り組みの成果を積み上げ、そのなかからより望ましい解決方策を見つけていくためにも、関係機関との連携協力が必要です。