主な相談機関別の人権相談の状況

3 人権相談事業実施市町村

(1)業務概要

 大阪府では、人権侵害を受け、または受けるおそれのある府民が、自らの主体的な判断により課題を解決することができるように事案に応じた適切な助言や情報提供などにより支援するとともに、人権相談を通じた行政ニーズの的確な把握により、課題解決のための施策の有効かつ効果的な推進に資することを目的として、市町村による身近で当事者の立場に立ったきめ細かな相談窓口の整備を支援しています。


【参考】府内市町村における人権相談窓口の設置状況について


(2)人権に関する相談の傾向と分析

 人権に関わる相談を実施している市町村の相談窓口に寄せられた、2011年度(平成23年度)の人権相談件数等は次のとおりです。


■市町村(人権担当部局)の相談件数

延べ件数・実件数別相談件数 グラフ・表

 市町村(人権担当部局)では、2011(平成23)年度に延べ件数で5,788件、実件数で2,989件の相談が寄せられています。


 注)各年度に集約する「相談」の範囲が統一的でない場合があるなど、各年度の相談件数の増減は、必ずしも実態の推移を反映するものではありません。


■相談形態別

1.相談形態別相談件数 グラフ・表

  •  2011(平成23)年度では、「電話」が2,888件(約52%)と最も多く、次に「面接」が2,294件(約41%)となっています。


■相談者の性別の割合

2.相談者の性別相談件数 グラフ・表

  •  相談者の性別をみると、「女性」からの相談が多く、2011(平成23)年度においては、2,413件(76%)、「男性」からの相談が704件(22%)となっています。

■相談者の年齢別の割合

3.相談者の年齢別相談件数 グラフ・表

  •  2011(平成23)年度の相談者を年齢別にみると、「60歳以上」が488件(約16%)と最も多く、次いで「30代」が279件(約9%)、「40代」の259件(約8%)、「50代」が242件(約8%)となっており、高齢者をはじめとする中高年齢層の相談者が多くなっています。

■人権課題別の相談の割合

4.人権課題別相談件数 グラフ・表

  •  人権課題別にみると、2011(平成23)年度では「外国人」が最も多く1,164件(約37%)、次いで「女性」が596件(約19%)、「障がい者」が126件(約4%)、となっています。
  •  「その他」1,099件(約34%)については、「労働関係」の相談が最も多く、次いで「野宿生活者」、「犯罪被害者とその家族」、「エイズ・HIV」、「ハンセン病」の順となっています。

 注)2011年度において「外国人」に関する人権相談の割合が高くなっているのは、ある機関において、2010年度までは集約対象にしていなかった窓口に寄せられた相談を加えることとしたことによるものです。

■相談内容別の割合

5.相談内容別相談件数 グラフ・表

  1. 相談内容別で見ると、2011(平成23)年度では、「上記に準ずるもの」を除くと「虐待」が640件(31%)と最多となっています。
  2. 「虐待」の内訳では、配偶者からの暴力等(DV)の相談が最も多く、次いで保護者の監護における暴力等(児童虐待)の相談となっています。
  3. 次いで「差別的言動等」が219件(11%)となっており、その内訳では「特定の者に対する嫌がらせ」が162件と最も多く、「セクハラ」も14件の相談が寄せられています。
  4. 「差別的取り扱い」では107件(約5%)の相談があり、その内訳としては「公権力の行使における不当な差別的取扱い」が24件、「物品不動産やサービス等の提供における不当な差別的取扱い」が22件、「労働関係における不当な差別的取扱い」が19件、となっています。

*「差別的取扱い」: 労働関係における不当な差別的取扱い、公権力の行使における不当な差別的取扱い、物品不動産やサービス等の提供における不当な差別的取扱いなど
 「差別的言動等」: 特定の者に対する侮辱・嫌がらせ、特定の者に対し、職務上の地位を利用して行う性的言動(セクハラ)など
 「差別助長行為等」 差別表現文書の頒布・掲示、差別落書きなど
 「上記に準ずるもの」 上記の類型に該当しないもの。財産侵害・金銭搾取、結婚差別などはこの分類に含む

■発生場所別の割合

6.発生場所別相談件数 グラフ・表

  •  発生場所別にみると、2011(平成23)年度では「自宅」が最も多く1,327件(約41%)となっています。

■侵害行為者別の割合

7.侵害行為者別相談件数 グラフ・表

  • 人権侵害行為をおこなった人(行為者)別にみると、2011(平成23)年度では「配偶者」(内縁関係を含む)が522件(約16%)と多くなっています。

■市町村(人権担当部局)の相談窓口が対応した対応状況の割合


8.対応状況別相談件数 グラフ・表

  •   寄せられた相談にどのように対応したかについて、2011(平成23)年度の「対応状況」をみると、「助言・指導」が1,155件(約52%)と半数以上を占め、「他機関紹介」283件(約13%)、「通報・取り次ぎ」196件(約9%)、という対応が多くなっています。

■市町村(人権担当部局)の相談窓口が対応して、その後の状況の割合

9.その後の経過別相談件数 グラフ・表

  •  その後の経過をみると、2011(平成23)年度では「相談の継続」が873件(約46%)と最も多く占めており、次いで「カウンセリングのみで解決」が368件(約19%)、個別の専門相談機関等につないで解決を図る「専門相談機関で事案対応」が267件(約14%)、「個別施策の組み合わせで解決」が83件(約4%)となっています。