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主な人権侵害事象(差別事象を含む)状況

「大阪で起こっている差別の現実~実際の差別事象から~」コーナー

同和地区の人々と在日コリアンの人々に対する差別表現の投稿

同和地区に住む人々と在日コリアンの人々に対する市が運営する掲示板への差別表現の投稿

ポイント

  • 今回の事象の特徴は、差別を助長する内容を掲示板管理者である市へ掲載依頼し際、市職員によって発見された事例です。
  • 差別投書は、差別意識や偏見を助長し、拡大させる極めて悪質な差別助長行為です。今回の事象例はインターネットを利用したものですが、この掲示板は投稿内容を市職員が確認し、掲載の可否を判断した上で掲載する仕組みとなっているため、区分としては、誰でも閲覧可能なインターネットではなく、市への投書として取り扱われたものです。
  • このような書き込みが掲載されれば、差別を助長し、新たな差別を生み出す原因にもなりかねません。インターネット上への投稿は、全国のみならず全世界の不特定多数の人々が見ることができるものであり、発信者の意図を超えて拡がっていく可能性があります。
  • 差別を助長するような投稿をしない、させないために、府民のみなさん一人ひとりが人権意識をしっかりと持ち、発見したらすぐに掲載されたサイトの管理者等や市町村の人権担当部局に通報してください。

◇事例の概要

茨木市ホームページ内の「子育て掲示板」に差別表現のある投稿がありました。

  • ■発生日時
    • 茨木市2013年8月6日(火)午前9時58分
  • ■発生場所
    • 茨木市ホームページ内「子育てひろば掲示板」
       ※「子育てひろば掲示板」は茨木市が管理している掲示板で、市民相互で子育てに関する情報等の意見を交換する場として役立ててもらうことを目的として実施されています。
      投稿があると、管理者である市がその内容を確認し、利用ルールに反する場合には、削除(=掲載しない)または修正を行った後に掲載することになっています。
  • ■発 見 者
    • 茨木市職員
  • ■事象内容

    ささいなきっかけで同和部落地区の住民から組織的な嫌がらせを受けています。その内容は極めて悪質で、家屋への不法侵入ならびに集団でのつきまとい等、多種多様な嫌がらせです。
    そうとう生活水準の低い連中の仕業と思えるほど陰湿なやり口でもあり、日本の上流階級に嫉妬する貧困の在日ならでわの仕業であるといえます。
    同じような被害に遭われている方は他にも多数おられ、警察には徹底的に取り締まってくれるよう要請しておりますが、部落は在日韓国朝鮮人が多い為、組織的に犯罪に対してはなかなか証拠を得にくいとのことです。
    「差別するな!」と要求している連中が組織的に犯罪を犯し、平気で人権を踏みにじっていることは許せないことです。
    この犯罪には●●団体の●●が深く関与しているというブログ記事も多数でております。
    企業が在日朝鮮人や部落出身者の入社を阻止するする理由がよくわかります。
    できればもっと徹底的に差別したうえ、日本から追放してほしいものです。

    【注意事項】下記の問題書き込み内容の●の記述は、実際の団体名等が書かれていましたが、本ホームページ作成にあたって事務局が記号化したものです。

◇事例の差別性

  • まず、「同和部落地区の住民から組織的な嫌がらせを受けています。その内容は極めて悪質で、家屋への不法侵入ならびに集団でのつきまとい等、多種多様な嫌がらせです。」とあります。
     この投稿では、「悪質で」という言葉を使い、掲示板利用者に対して、"同和地区=悪"という意識や偏見を植え付けるものであり、部落差別を助長することになります。
  • 2つ目に、「そうとう生活水準の低い連中の仕業と思えるほど陰湿なやり口でもあり、日本の上流階級に嫉妬する貧困の在日ならでわの仕業であるといえます。」と続いています。
     ここでは、「そうとう生活水準の低い連中」と「陰湿なやり口」という言葉を使い、"同和地区出身の人々=経済的に困窮している人=負のイメージ"を与えるものであり、偏見を植え付けるものです。
     更には、「貧困の在日ならでわの仕業」とつなげ、在日コリアンに対する差別を助長することになります。
  • 3つ目に、「部落は在日韓国朝鮮人が多い為、組織的に犯罪に対してはなかなか証拠を得にくいとのことです。」とあります。
     ここでは、"同和地区=犯罪者"という意識や偏見を植え付けるものであり、部落差別を助長しようとしています。さらに、"在日コリアン=犯罪者"とし、という意識や偏見を植え付けるものであり、在日コリアンに対する差別を助長しようとしています。
  • 4つ目に、「「差別するな!」と要求している連中が組織的に犯罪を犯し、」とあります。
     ここでは、「組織的に犯罪を犯し、」という言葉を使い、「同和地区=犯罪者」という意識や偏見を植え付けようとしています。そして、あたかも同和地区の人々が犯罪者であると伝えようとしており、部落差別を助長することになります。
  • 5つ目に、「企業が在日朝鮮人や部落出身者の入社を阻止するする理由がよくわかります。できればもっと徹底的に差別したうえ、日本から追放してほしいものです。」とあります。
     ここでは、在日コリアンや同和地区出身の人々に対する就職差別を助長しているとともに、「日本から追放」という言葉を使うことによって、在日コリアンや同和地区出身の人々に対する排除意識があります。
  • これらの投書(投稿)は、書き込まれた同和地区やその住民、在日コリアンの人々に対して「悪」や「犯罪」などの言葉でマイナスの印象を与えるとともに、差別意識や偏見を広げる要因にもなります。
  • また、この掲示板は、インターネットを見られる環境があれば利用ができ、偽名での利用やペンネーム等でも利用ができることから、茨木市民が依頼したとは限られず、誰が依頼したかはわからない匿名性のあるものとなっており、書き込みをした人はその点を踏まえて、依頼したものと思われます。

◇事例の対応

  • 掲示板を担当している茨木市職員が、掲載希望の投稿があったため、内容を確認したところ、「掲示板利用ルール」に違反する内容であったため、課内で供覧し削除を決定した。
  • その後、人権担当部署である人権・男女共生課に連絡があり内容を確認。削除については妥当な判断であることを確認した。
  • 行為者への対応は返信が不可能なシステムであり、匿名希望であったため対応できなかった。内容的に荒唐無稽なもので警察への確認はしていない。
  • 後日、大阪府等関係機関に報告書を作成し報告した。