主な人権侵害事象(差別事象を含む)状況

(2)大阪で起っている差別の現実 ~実際の差別事象から~

外国人に対する差別落書き その2

【事例 その2「在日コリアンを排除したり、偏見をあおり差別を助長する落書き」】

◇事例の概要

  • 堺市内にある鉄道駅構内男子トイレの個室内にある、給水タンク上部、個室トイレの扉(内側)、壁面タイルの3か所に、赤色の鉛筆で落書きされていた。

■発生日時:2012年9月29日(土) 午前10時30分
■発 見 者:駅清掃作業者

(給水タンク上部に書かれていた内容)
「在日朝鮮人は国に帰れ 毎月15万円の生活保護費を返せ 朝鮮はくさい ドロボウ 金返せ!!」(縦23cm×横24cm)

(扉の内側に書かれていた内容)
 「朝鮮人はギ装仕送りしている。 毎月15万円 約70万人」(60×70cm)

(壁面タイル部分に書かれていた内容)
 「朝鮮人70万人が一人頭15万円税金免除を受けている。 金返せ!!」
 (80×40cm)

※なお、文字はカメラで記録できないほど薄かった。

◇事例の差別性

  1. この事例では、「在日朝鮮人は国に帰れ」と落書きがされており、在日コリアンの人々を排除しようとする落書きと言えます。
  2. また、「生活保護費を返せ」「ドロボウ 金返せ!!」「15万円税金免除を受けている」という落書きでは、在日コリアンの人々だけに対して生活保護費を返すよう落書きがされており、「一人頭」と表現しています。これは、"在日コリアンは全ての人が仕事もせず、生活保護を受けている"という誤った見方をしており、あたかも「在日コリアンであることを理由とする何らかの優遇措置がある」かのように偏見を生み出そうとしていると言えます。すべての在日コリアンがこのような優遇措置を受けているという事実に反する考え方を根拠として、在日コリアンを「ドロボウ」と貶める誹謗中傷である落書きと言えます。
  3. さらには、「朝鮮はくさい」「朝鮮人はギ装仕送りしている」の落書きは、在日コリアンの人々や大韓民国や朝鮮民主主義人民共和国に住む人々に対する偏見を第三者に与え、差別を助長する落書きと言えます。
  4. これら3つの落書きは、攻撃的な落書きであり、日本社会で今なお残る在日コリアンの人々に対する誤った偏見が生み出した落書きであるといえ、意図的に落書きをしたものと考えられます。
  5. このようなことから、今後も外国人の正しい理解と認識が必要であり、一層の府民啓発が必要であると言えます。

◇事例の対応

  • 落書きを発見した作業員は、すぐ駅の社員に報告し、社員は現場を確認しすぐに落書き部分に紙を貼って見えないようにしました。その後、社員は、落書きが見つかった駅を管理する別の駅及び管理駅へ事実を報告し、当該男子トイレを使用禁止としました。
  • 管理駅から連絡を受けた堺市人権推進課は、鉄道会社大阪支社社員、管理駅駅長等関係者とともに現場を確認、記録等を行った後に、消去を依頼しました。
  • 堺市人権推進課から駅に対して啓発文書、啓発ポスターの掲示を依頼したところ、駅は積極的に応じました。