(4) 高齢者に関する人権相談
息子から虐待を受けている事例
相談者の主訴
娘(50歳代)からの相談。80歳代の母が弟夫婦と同居しているが、何かとトラブルが絶えず、相談者宅に逃げてくる。
しばらく滞在し、戻ってくることを繰り返していたが、「今回ばかりは帰りたくない。相談者宅への同居が無理なら、施設に入居してもかまわない」と思いつめている。
しかし、弟とは話し合えない。
相談の経過
父の遺産は弟が母の面倒を看ると約束したので、相談者及び妹は相続放棄した。その後、母自身も、相続放棄してしまっているとわかった。
弟は母の遺族年金月額11万円も取り込んでいる。
また、親族間で話し合いができないため、弁護士会の専門相談を紹介し、代理人(弁護士)を立てて話し合う方法や家庭裁判所の家族関係の調整する方法などの解決方法を提案した。
対応
今回の事例は高齢者虐待(経済的虐待)である可能性が高かったため、対応すべき専門機関である地域包括支援センターを案内した。
課題・問題点
今回の事例では、高齢者自身が、「施設入居してもよい。弟と暮らしたくない」と明確な意思を持っているため、解決への糸口を助言することができた。
2006(平成18)年度から、各市町村に「地域包括支援センター」が設置され、高齢者虐待防止法による相談窓口となっている。