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具体的な人権相談事例

(2) 女性に関する人権相談

女性の人権相談 ~ C市 人権担当課へのDV相談 ~

<相談のあらすじと対応のポイント>

  • 相談者(妻)Aさんが、夫からの暴力に長年苦しんでいたが、家を出ることを決心して相談に来所したケース。
  • それまでも警察や市の女性相談にも相談を持ちかけていたが、Aさんの決心がつかず、結果的に長期のDV被害を受けることになってしまった。DV被害から逃れ、シェルター等への保護は、それまでの家庭生活をすべて清算し、一からのスタートを余儀なくされるので、女性にとっては大きな決断を迫られる。
  • 当然、その後の生活設計への不安もあることから、長期の被害を継続して受ける女性が多くなる。それだけに決断後の保護は迅速に行わなければならい。
  • 緊急の保護を必要とするDV支援では、通常の支援で行われる家族関係調整を省略することは珍しくない。(相談に行ったことが原因で起こるDVを防ぐ手立ても無いことからやむを得ない。)
  • このプロセスの省略はDV支援の特徴だとも言え、支援者側の判断と支援に高い専門性が求められる。

相談前・相談後のイメージ PDFファイル


●相談者の状態と人権相談員の対応内容

  1. 度重なる夫からのDV被害に耐えかねており、何とか助けてほしいと悲壮な表情で相談に来所。
  2. 来所時の状況は、顔にはアザがあり、痛々しい様子。相談内容から緊急性があると判断し、Aさんにシェルターの紹介をおこなうと共に、大阪府の女性相談センターへも相談内容を伝え、協力を要請した。Aさんは相談後、シェルターへ避難されることを決意された。
  3. Aさんの家庭状況は、夫と長女(小学2)の3人家族。夫の暴力が始まったのは結婚1年を経過した頃からで、長女を出産後の数年は大変な状況を耐えていた。暴力がもとで骨折したこともあり、警察署にも相談に行ったが、被害届を提出する決心がつかなかったため、直接的な介入には至らなかった。

●対応内容とその成果・課題

  1. 相談初日より、DV被害の痕跡もあり、短時間での保護を優先しなければならないとC市担当部局等の支援関係者が共通認識を持った。
  2. 相談者Aさんも、相談に訪れる前に家を出ることを決心しており、後は支援者側の調整能力と迅速な対応力が問われた。
  3. 夫からの暴力は配偶者のAさんに限られていたが、長女も連れて家を出たいとAさんの強い希望もあり、その希望を優先する形で大阪府の女性相談センターに連絡を取り、シェルターへの一時入所を進めた。
  4. この経過の中で、本来のケースワークでおこなうような家族関係調整は省略しなければならないので、多少の戸惑いを感じながらの支援をおこなった。(長女の希望も後から確認した)
  5. 相談者Aさんと長女の身の安全と気持ちを最優先にしながら、利用可能な制度を組み合わせ、最終的にはシェルターに入所し、その後、希望されていた地域へ住所を設定することができた。
  6. 活用した制度は、「生活保護制度」、「DV被害者一時保護制度」

●支援のために連携した機関等

  1. 大阪府E子ども家庭センター
  2. 大阪府女性相談センター
  3. C市生活保護担当課
  4. C市教育委員会
  5. C市子育て支援担当課
  6. D警察署

Q、DV(ドメスティック・バイオレンス)とは

 夫婦や恋人など親密な関係にある男女間における暴力のこと。DVに関しては、2001年10月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が施行され、2004年12月には「配偶者からの暴力の定義の拡大」、「保護命令制度の充実」などを内容とする法改正、2008年1月には「保護命令制度の拡充」「市町村基本計画策定の努力義務」等を内容とする一部改正法が施行されました。


☆DVの相談や支援窓口