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具体的な人権相談事例

(1) 同和問題に関する人権相談

就職の面接にあたって住所地を聞かれる事例

相談者の主訴

 就職活動を実施する中で、履歴書を出した会社のほとんどが不採用となるので、会社になぜ不採用なのかを訊ねたところ「A市ですが、その市は人権なり、同和なりに・・・」というようなあいまいな返事が返ってきた。
 この企業の採用担当者の発言に関して、相談があった。

相談の経過

 A市に40年近く居住していたが、他府県に転居した後、新しい仕事を探すため就職活動をするも、不採用が続いた。その理由を訊ねたところ同和地区に関する話が出た。

対応

 企業の採用担当者の発言は差別発言にあたるので、こうした差別をなくすために企業に対して差別意識解消のための働きかけ等をしていく必要がある点を繰り返し説明し、企業名等の情報提供を促したが、相談者から情報は得られなかった。
 以後相談者からの連絡はなかった。

課題・問題点

 採用面接時において職業安定法や労働省指針違反の質問を受けた相談事例は跡を絶たない。
 採用者と被採用者との関係において、面接を行う側が有利であることは言うまでもない。本相談事例のように、面接を受ける側の人権意識が高くなければ、法違反の質問に気づかないまま面接が進んだり、気づいていてもあえて指摘をせずに面接を終えたりする事例は少なくないものと思われる。
 また、逆に違反質問を指摘したり、返答を拒否したりすることが不採用につながっている事例もあり、採用面接におけるこれらの実態をいかに人権相談窓口につなげ、解決していくかが課題である。
 なお、大阪府内では、常時使用する従業員数が25名以上の事業所(工場、支店等においては人事権(採用権)を有する事務所)において、「公正採用選考人権啓発推進員」の設置を図り、適正な採用選考システムの確立や企業内において従業員に対する人権研修等の実施等を推進している。